2025/7/17 2025/8/25
フレックスとは?就活生向けにしくみやメリット・デメリットをやさしく解説!
目次
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、働く人が自分で出社・退社の時間を調整できる柔軟な勤務制度です。就活を始めたばかりの方にもわかりやすいように、フレックスタイム制の基本から仕組み、実際の普及状況までを解説します。
- フレックスタイム制の定
- フレックスタイム制の仕組み
- 日本におけるフレックス制度の普及状況
フレックスタイム制の定義
フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた一定期間内の総労働時間の範囲であれば、各日の始業時刻や終業時刻を従業員が自由に決められる勤務制度のことです。
簡単に言えば、「1か月で○時間働く」という決まりだけ設けておき、その範囲内で何時に出社・退社しても良いという柔軟な働き方です。例えば「今月は合計160時間働けばOK」と決まっていれば、忙しい日は長く働き、用事のある日は短くする、といった調整が可能になります。
通常の勤務制度では始業・終業時刻が固定されますが、フレックスタイム制では日によって出退勤時間を変えられる点が大きな特徴です。ただし何でも自由というわけではなく、会社と従業員の間でルールを定めて運用します(後述の「仕組み」で解説します)。
またフレックスタイム制であっても、法律上は清算期間内の総労働時間が法定労働時間の範囲内である必要があります。つまり1週間あたりの平均労働時間が40時間以内になるよう総時間が決められるため、「フレックスだからといって働きすぎていい」というものではありません。
フレックスタイム制は1980年代から日本でも一部導入されていましたが、本格的に注目され始めたのは近年です。政府が進める働き方改革やテレワークの普及により、「時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」として脚光を浴びています。特に若手世代は仕事とプライベートの両立=ワークライフバランスを重視する傾向が強く、フレックス制度はその実現に役立つ仕組みといえるでしょう。
フレックスタイム制の仕組み
フレックスタイム制では期間内の総時間をまず決め、その上でコアタイムとフレキシブルタイムのルールを設けます。主なポイントは次のとおりです。
清算期間の設定
清算期間とは労働時間を精算する単位期間のことで、1か月や3か月など期間を定めます。法律上は最大3か月まで設定可能です。例えば「清算期間は1か月、毎月1日を起点」といった具合に決め、その期間内に何時間働くか(総労働時間)をあらかじめ決めます。
コアタイムの有無と時間帯
コアタイムとは「全員が必ず勤務しなければならない時間帯」のことです。例えば「コアタイムは10時~15時」のように定めると、従業員はこの時間帯は必ず勤務し、それ以外の時間帯は各自の裁量で働く形になります。なおコアタイムを長く設定しすぎるとフレックスの意味が薄れてしまうため、コアタイムは必要最低限の短い時間にする企業も多いです。
コアタイムを設定せず一切の拘束時間を設けない場合もあり、これを特に「スーパーフレックス」や「フルフレックス」と呼びます。
フレキシブルタイムの設定
フレキシブルタイムとは「従業員が自由に出退勤できる時間帯」です。コアタイムを挟んでその前後に設定するケースが一般的で、例えば「フレキシブルタイムは始業5時~10時、終業15時~22時」のように決めます。ある日は6時に出社して15時に退社、別の日は10時に出社して20時に退社、というように日によって勤務時間を調整できるのです。
コアタイムのないスーパーフレックス制度の場合は、全時間がフレキシブルタイムになります。
時間外労働の扱い
清算期間内に定めた総労働時間を超えて働いた場合は、超えた分が残業(時間外労働)となり割増賃金が発生します。逆に総労働時間に満たない場合は、その分の給与がカットされるか有給休暇で補填するといった取り扱いになります。
ただし日々の労働時間が所定より長くても清算期間内で調整できれば原則残業にはなりません。

日本におけるフレックス制度の普及状況
柔軟で魅力的なフレックスタイム制ですが、日本全体で見ると導入率は決して高くありません。厚生労働省の調査によれば、フレックスタイム制を導入している企業の割合は近年少しずつ増加しているものの、全体では1割に満たない水準です。
例えば令和5年(2023年)時点で導入企業は約6.8%というデータがあります。裏を返せば約93~94%の企業はフレックスを採用していないというのが現状です。
一方で、企業規模による差も大きく、大企業ほど導入が進んでいる傾向があります。厚労省が発表した「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、従業員数1,000人以上の企業では約3割がフレックスタイム制を取り入れているとのデータもあり、中小企業(特に従業員数が少ない企業)では採用例がかなり少ないのが実情です。
これは大企業の方がバックオフィス体制が整っており、新しい制度の運用や勤怠管理システム導入への対応がしやすいこと、また職種の多様性から柔軟な勤務形態を必要とする部署が存在しやすいことが理由として考えられます。
では業界や職種ではどうでしょうか。実はフレックスタイム制の導入率は業種によって大きな差があります。厚生労働省が発表した『就労条件総合調査』(政府統計の総合窓口[e-Stat]に掲載)によると、情報通信業では導入率が30.0%と突出して高く、次いで学術研究・専門技術サービス業など専門職系の業種が続きます。
逆に建設業や飲食業、医療・福祉など、チームで動く必要があったり顧客対応が欠かせなかったりする業種では導入率が極めて低いです。フレックスは「時間や場所に縛られず個人で完結しやすい仕事」が多い業界ほど相性が良く、導入が進んでいるのです。
総じて、日本におけるフレックスタイム制は徐々に広がりつつあるものの、まだ限定的な普及状況と言えます。制度導入に二の足を踏む企業も多く、その理由として「業務に支障が出ないか不安」「勤怠管理が複雑になる」「従業員間のコミュニケーションが減る懸念」などが指摘されています。
次章ではそうした点も含め、フレックスタイム制のメリットとデメリットを見ていきましょう。
フレックスタイム制のメリットとデメリット
フレックスタイム制は、自分の生活に合わせて働く時間を調整できる便利な制度ですが、一方で注意したい点もあります。ここでは、主なメリットとデメリットそれぞれの内容を具体的にわかりやすく解説していきます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ワークライフバランスの向上 | 社内コミュニケーションの希薄化 |
| 通勤ラッシュの回避 | 業務調整や対外対応の難しさ |
| 業務効率化と残業削減 | 自己管理が必要 |
| 人材採用・定着への効果 | 勤怠管理が複雑 |
フレックス制のメリット
フレックスタイム制は従業員にとって嬉しいメリットが多い制度です。柔軟に働けることで生活と仕事のバランスが取りやすく、生産性向上や会社へのエンゲージメント(愛着心)向上にも寄与します。
企業側も、働きやすい環境を整えることで優秀な人材を確保しやすくなる、社員の健康維持やモチベーションアップによって長期的な業績向上につながる、といったメリットを享受できます。
ここでは主なメリットを挙げてみましょう。

ワークライフバランスの向上
決まった時間に縛られず働けるため、個々の生活に合わせやすくなります。例えば朝に家族の送り迎えをしてから出社したり、夕方早めに退勤して資格の勉強に充てることも可能です。一人ひとりが理想のペースで働けることでプライベートと仕事の両立がしやすくなり、従業員満足度やモチベーションアップにつながります。
通勤ラッシュの回避
出勤時間をずらせるので、満員電車のラッシュアワーを避けて通勤できます。ストレス軽減や感染症予防にも効果的です。混雑を避けて快適に通勤できれば、その分仕事に向かう気持ちにも余裕が生まれるでしょう。
業務効率化と残業削減
業務量に応じてその日の労働時間を調整できるため、暇な日にダラダラ残る必要がなく、忙しい日は集中的に長く働くことで他の日の残業を減らせます。結果として無駄な時間外労働の削減やメリハリのある働き方につながり、企業側も残業代コストの削減効果が期待できます。
人材採用・定着への効果
柔軟な働き方ができる制度は求職者にとって魅力的に映ります。「フレックスOK」を掲げることで企業のアピールポイントとなり、優秀な人材の応募を促したり他社との差別化につながります。また社員が自分に合った働き方を選べることで離職率の低下も期待できます。
フレックス制のデメリット
一方で、フレックスタイム制には注意すべきデメリットもあります。制度をうまく活用できないと、かえって働きにくくなったり、職場の生産性が下がってしまう可能性もあります。
企業側では、コミュニケーションを補う工夫(オンライン会議やチャットツールの活用など)や、勤怠管理システムの導入による管理効率アップ、社員へのタイムマネジメント教育などの対策が求められます。
一方、働く側も与えられた裁量の中で責任を持って仕事を進める姿勢が必要です。「自由=何をしてもいい」ではなく、自律的に業務を管理できてこそフレックスの恩恵を享受できるでしょう。
ここでは、フレックスタイム制を利用するうえで知っておきたい注意点を紹介します。

社内コミュニケーションの希薄化
出勤・退勤時間が各人バラバラになるため、同僚と顔を合わせる機会が減りやすいです。特にコアタイムを廃止した場合は時間帯が合わない社員同士でほとんど接点がなくなることもあります。その結果、チームワークの低下や情報共有の遅れといった影響が懸念されます。
業務調整や対外対応の難しさ
部署内や他部門・取引先との時間調整が難しくなる場合があります。皆が同じ時間に揃わないため、会議のスケジューリングや急な連絡への対応に支障をきたす恐れがあります。特に顧客対応やチームプレーが求められる仕事では「人がいなくて困る」という事態が起こりかねません。
自己管理が必要
自由に時間を選べる分、従業員の自己管理能力が問われます。つい怠けてしまったり計画的に働けない人がいると、締め切りまでに必要な労働時間が足りなくなるなど問題が生じる可能性があります。また遅い時間にずれ込む働き方が常態化すると生活リズムが乱れ、健康面への影響も懸念されます。
勤怠管理が複雑
人事・総務部門にとっては、各社員の勤務時間を正確に管理する手間が増えます。全員が同じ時間に出退勤する場合に比べ、個別の出退勤データを集計し残業時間を算出する作業が煩雑になります。管理が追いつかないと残業代計算のミスや法定労働時間オーバーなどのトラブルにつながりかねません。
フレックス制に向いている人・向いていない人
ここまでフレックスタイム制のメリットとデメリットを見てきて、「自分に向いている働き方だろうか?」と気になった方もいるかもしれません。フレックスタイム制は、誰にでも最適とは限らず、向き・不向きがあります。自己管理が得意で、自分のペースで働きたい人には合っていますが、時間管理が苦手な人やチームでの連携が重視される仕事には向かない場合もあります。
就活生の皆さんにとっても、企業選びの際に自分に合った働き方を知ることは大切です。性格やライフスタイル、働き方の希望と照らし合わせて、自分に合う制度かどうかを判断してみましょう。
「自分はフレックスを活用してのびのび働きたいタイプだ」と感じるなら、導入企業を志望先に加えるのもおすすめです。逆に「あまり自信がないかも…」という場合は、固定時間制でも在宅勤務ができる会社など、他の柔軟な働き方を視野に入れると安心です。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 自己管理が得意な人 | 時間管理が苦手な人 |
| プライベートとの両立を重視する人 | 切り替えが下手な人 |
| 朝型・夜型など自分のリズムがある人 | チームで働くのが中心の人 |
| 成果で評価されたい人 | 上司や同僚の管理・サポートが必要な人 |
フレックスタイム制に向いている人
フレックスタイム制は、自分で働く時間を柔軟に調整できる反面、自律的な働き方が求められます。そのため、向いている人にはいくつかの共通点があります。以下のタイプに当てはまる方は、フレックス制度をうまく活用しやすいでしょう。
自己管理が得意な人
スケジュール管理や計画立てがしっかりできる人は、フレックスでも生産性高く働けます。締め切りに向けて自律的にペース配分できるタイプの人は相性◎です。
プライベートとの両立を重視する人
育児・介護や習い事など生活上の予定を調整しながら働きたい人には最適です。必要に応じて勤務時間をずらせるため、私生活とのバランスを取りやすくなります。
朝型・夜型など自分のリズムがある人
例えば「朝の方が頭が冴える」「夜の方が集中できる」という人は、その最も効率の上がる時間帯に働けるフレックスを活用できます。
成果で評価されたい人
時間よりアウトプット重視の働き方を望む人に向きます。フレックス導入企業は成果主義・信頼文化が比較的強いため、自分の裁量で工夫して結果を出したい人にはやりがいがあるでしょう。裁量労働制は
フレックスタイム制に向いていない人
フレックスタイム制は自由度が高い一方で、自律的に働く力や時間管理スキルが求められます。そのため、人によっては制度の柔軟さがかえってストレスや非効率につながることもあります。以下のような傾向がある方は、慎重に検討した方がよいかもしれません。
時間管理が苦手な人
計画的に働くのが苦手でいつもダラダラしてしまう…という人は、自分で時間を決められる環境だとかえって非効率になる恐れがあります。誰かに決められたスケジュールの方が力を発揮できるタイプは要注意です。
切り替えが下手な人
自由度が高いとオン・オフの切り替えが難しくなり、「ついプライベートを優先しすぎる」「逆に際限なく働いてしまう」ケースも。自己コントロールに自信がない人には不向きかもしれません。
チームで働くのが中心の人
仕事の性質上、常にチームメンバーと一緒に行動する必要がある場合、個人バラバラの時間では進めづらいです。他部署や取引先との連携が頻繁な職種(営業など)も、皆の時間を合わせる通常勤務の方が効率的なことがあります。
上司や同僚の管理・サポートが必要な人
新人などは特に、周囲からの指示や助けを受けながら業務を進めます。常に誰かが近くにいる環境でないと不安な人や、サポートが必要な段階の人は、まず通常勤務で経験を積んだ方が良いでしょう。
フレックスタイム制が普及している業界と職種
フレックスタイム制は便利な制度ですが、すべての会社や仕事で自由に使えるわけではありません。実際には、導入が進んでいる業界や職種と、そうでない業界とで大きな差があります。
この章では、どのような仕事でフレックスタイム制が使われているのか、また導入が難しい仕事にはどんな特徴があるのかをわかりやすく解説します。企業選びや志望動機を考えるうえでも役立つポイントなので、ぜひ参考にしてみてください。
フレックスタイム制に適した業界・職種
一般的に、フレックス制度は「個人の裁量で業務を進めやすい仕事」と相性が良いです。時間や場所に縛られず、成果物さえ出せれば問題ないような仕事であれば、社員それぞれのベストな時間帯で働いてもらった方が効率的だからです。
代表的な業界としてまず挙げられるのがIT・情報通信業界です。システムエンジニアやプログラマー、Webデザイナーなどは、自分のPCさえあれば作業できることが多く、他者とリアルタイムで連携しなくても完結できる業務が多い職種です。
これらの職種ではフレックス導入率が非常に高く、多くのIT企業で当たり前のように採用されています。厚生労働省が発表した『就労条件総合調査』(政府統計の総合窓口[e-Stat]に掲載)によると、情報通信業は導入率30%と他業種を大きく上回っており、業界全体で柔軟な働き方が浸透していると言えるでしょう。
次にコンサルティング業界や士業・研究開発職など、専門性が高く成果が重視される仕事もフレックスが適しています。コンサルタントはプロジェクトベースで動き、成果物の提出さえ期限を守れば働く時間帯は問われない傾向があります。
研究職やデザイナー、ライターなどクリエイティブな仕事も、自分のペースで集中できる時間に取り組めた方が良い結果が出やすいため、フレックスと好相性です。
また大企業では部署によって採用している場合があります。例えば製造業でも、本社の開発部門や企画部門はフレックスOKだけれど、工場の生産ライン部門は従来通りシフト勤務、といったケースです。
このように同じ会社内でも職種によって制度利用状況が異なることもあるので、志望企業がどの部門でフレックスを使っているかまで調べられると理想的です。
一方で、フレックスタイム制の導入が難しい業界・職種もはっきりしています。顧客対応が必要なサービス業(小売・飲食・宿泊など)や、営業時間の決まっている銀行窓口、チームワーク重視の建設現場、授業時間が固定された教育・保育などはフレックスには不向きです。
これらの仕事では皆が同じ時間帯に揃っていないと回らないため、シフト制や固定時間労働が主流です。就活の際は、自分の志望業界がフレックス導入しやすい土壌かどうかも頭に入れておきましょう。
フレックス制度を導入している企業の事例
では実際にフレックスタイム制を導入し、うまく活用している企業にはどんな例があるでしょうか。ここではフレックスタイム制の先進事例とも言える代表的な企業を3社ご紹介します。
アサヒビール株式会社
大手ビールメーカーのアサヒビールでは、コアタイムを設けない「スーパーフレックスタイム制度」を全社的に採用しています。さらにテレワーク制度や営業担当者の直行直帰制度も組み合わせており、時間・場所の両面で柔軟な働き方を実現しています。
これにより従業員は自分に合ったペースで業務に取り組め、生産性向上やワークライフバランス向上につながっているとのことです。
三井物産株式会社
総合商社の三井物産では、働き方改革の一環として、全社でフレックスタイム制を導入しています。コアタイムは10時~15時、フレキシブルタイムは5時~10時および15時~22時に設定されており、比較的広い裁量が社員に与えられています。
同社は、労働時間の長さに依存しないパフォーマンスの発揮を促し、社員のエンゲージメント向上に寄与することを目指していると説明しています。また、フレックスタイム制度に加えて、時差出勤やリモートワーク制度も併用し、従業員がより働きやすい環境の整備を進めています。
ソフトバンク株式会社
通信・IT大手のソフトバンクは、コアタイムなしのフルフレックス制度を導入しています。従業員は日々の労働時間を自由に調整できるため、仕事の合間にスキルアップの勉強時間を確保したり、通勤混雑を避ける働き方が可能になりました。
さらに全国各地のサテライトオフィス利用や、毎月最終金曜は15時退社を推奨するプレミアムフライデーなど、多様な施策で社員のワークライフバランスを支援しています。
上記のように、大企業を中心にフレックスタイム制を積極的に取り入れる企業が増えています。それぞれ業種は異なりますが、「効率的な働き方」「社員の自主性尊重」「WLB(ワークライフバランス)推進」といった共通の目的を持って制度を運用している点が特徴です。
就活生の皆さんも志望企業の制度を調べる際、こうした働き方の柔軟性に注力している会社かどうかに注目すると良いでしょう。それが企業風土や経営方針を知る手がかりにもなります。
フレックス制度と他の制度との違い
フレックスタイム制は柔軟な働き方の一つですが、世の中には他にも様々な勤務制度があります。中でも裁量労働制や変形労働時間制、時差出勤、時短勤務、そしてテレワーク(在宅勤務)などはフレックスと混同されたり比較対象になることが多いです。それぞれの制度とフレックスとの違いを押さえておきましょう。
裁量労働制との違い
まず裁量労働制との違いです。裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ「みなし労働時間」を定めて働いたものとみなす制度です。
例えば1日8時間とみなす裁量労働制では、極端な話5時間しか働かなくても10時間働いても「8時間働いた」と見なされます。これだけ聞くとフレックスと似ているように思えますが、本質的には全く別の制度なので注意が必要です。
- 対象職種
- フレックスタイム制は基本的にどんな職種でも会社の方針次第で導入できます。一方、裁量労働制は法律で適用できる業務が限定されています。例えば研究開発職、新聞記者、デザイナー、弁護士など専門性の高い一部の職種のみが対象です。
- 労働時間の扱い
- フレックスタイム制は実労働時間を記録し、総労働時間内に収まるよう勤務します。決められた総時間を超えれば残業代も支払われます。裁量労働制ではみなし時間分働いたと見なすため、基本的に残業という概念がありません。ただし、みなし時間を大幅に超えて働いた場合には、労使協定による健康措置などが必要になります。
- 制度運用
- フレックスタイム制は就業規則への記載と労使協定の締結で導入できます。裁量労働制も労使協定が必要ですが、対象者への事前同意や労使委員会の決議などより厳格な手続きが求められます。また同じ従業員に両制度を同時適用することはできません。
要するに、裁量労働制は「働いたことにする時間」を決める制度、フレックス制は「働く時間帯を決める制度」と言えます。混同しないよう注意しましょう。
「裁量労働=自由な働き方」と思われがちですが、対象職種も限られますし、実際には長時間労働になりやすいとの指摘もあります。就活で企業を見る際も、フレックスと裁量労働は区別して情報収集してください。
変形労働時間制との違い
変形労働時間制は、一定の調整期間内で労働時間を変動させられる制度です。一見フレックスと似ていますが、決定的に違うのは「労働時間を決めるのが会社側か労働者側か」という点です。
- 労働時間の決定権
- 変形労働時間制では会社が繁忙と閑散に合わせて各日の労働時間をあらかじめ設定します。一方フレックスタイム制では労働者が日ごとの始業・終業時刻と労働時間を決めます。
- 時間配分の方法
- 変形労働では、例えば「繁忙期の8月は1日10時間勤務、閑散期の2月は1日6時間勤務」といった具合に前もって勤務スケジュールを組み、一定期間(1か月や1年)平均で週40時間となるよう調整します。 フレックスタイム制では勤務スケジュールは事前に固定せず、月内の総時間だけ決めておき日々の勤務時間は労働者に委ねる形です。
- 残業の扱い
- 変形労働時間制では各日・各週で定めた所定労働時間を超えた分に対して残業代が発生します。例えば「今日は所定10時間」の日に11時間働けば1時間分残業です。フレックスタイム制では清算期間全体の総労働時間を基準に超過分が残業とみなされます。日によって長く働いても期間内で相殺できれば残業にならない点が異なります。
まとめると、変形労働時間制は会社主導で勤務シフトを組む制度、フレックスタイム制は社員各自の裁量で勤務時間を決める制度です。前者は主に季節変動や曜日による業務量の差に対応するための制度で、飲食店のシフトや工場の繁忙期対応などに使われます。一方後者は働き手の自主性と効率向上を目的に導入されるものです。
自分が志望する業界がどちらを採用しているか、混同せずに押さえておきましょう。
時差出勤との違い
時差出勤は、従業員ごとに出勤時刻をずらす制度です。フレックスタイム制と似ていますが、時差出勤の場合は1日の労働時間は固定である点が異なります。
- 1日の労働時間
- 時差出勤では所定労働時間(例:8時間)は変わりません。ただ始業時刻を例えば「8時~17時」「10時~19時」などにずらすことができます。フレックスタイム制では日によって労働時間自体を変更可能で、ある日は6時間勤務・別の日は10時間勤務といったこともできます。
- 柔軟性の度合い
- 時差出勤はあらかじめ決めた出社時刻を変更できるだけで、毎日きっちり所定時間働きます。一方フレックスは月の総労働時間さえ満たせば日々の労働時間配分は自由なので、忙しい日は長く・暇な日は短くといった調整が可能です。
- 導入目的
- 時差出勤は主に通勤ラッシュの緩和や感染症対策が目的です。フレックスタイム制は働き方の柔軟化による生産性向上やWLB推進が目的であり、制度の思想からして異なります。
時差出勤は比較的導入しやすく、コロナ禍でも多くの企業で採用されました。ただ「始業を1時間遅らせられる」程度の変更であり、勤務パターンは固定です。一方フレックスはより大胆に時間の融通を効かせられる制度です。就活の際、「当社は時差出勤制度あり」と書いてあるのと「フレックスタイム制あり」では意味が違うので注意しましょう。
時短勤務との違い
時短勤務制度は、主に育児・介護などの事情がある社員を対象に1日の労働時間を短縮する制度です。
- 1日の労働時間
- 時短勤務は1日の所定労働時間そのものを減らす制度です。例えば通常8時間勤務のところを6時間勤務に短縮するといった形になります。 フレックスタイム制では1日の労働時間は固定せず、日によって変動しますが、清算期間内の総労働時間は基本的にフルタイム(8時間×勤務日数相当)です。
- 対象者・目的
- 時短勤務は育児や介護との両立が必要な社員のための制度で、特定の条件を満たす社員のみ利用可能です。フレックスタイム制は全社員(または特定部署など)に適用される勤務形態上の制度で、特別な家庭の事情がなくても利用できます。
- 給与への影響
- 時短勤務は働く時間が短い分、当然給与もその割合で減ります(例:6時間勤務ならフルタイムの75%の給与など)。フレックスタイム制は総労働時間はフルタイムと同じなので、給与は基本的にフルタイムと同じです。ただし残業代の計算方法が通常勤務と異なる点(清算期間で計算する点)はあります。
簡単に言えば、時短勤務は「働く時間そのものを短くする制度」、フレックスタイム制は「働く時間帯を自由にする制度」です。両者は趣旨が異なるため併用も可能とされています。例えば育児中の社員が短時間勤務をしつつ、その短い時間の中でフレックスで働く、といったことも会社のルール次第で許容されます。
就活生の皆さんには少し先の話かもしれませんが、将来ライフステージが変化したときの働き方として知っておくと良いでしょう。
テレワークとの違い・相乗効果
最後にテレワーク(在宅勤務)との関係です。テレワークは勤務場所に関する制度であり、フレックスタイム制は勤務時間に関する制度です。それぞれ目的は異なりますが、組み合わせることで大きな相乗効果を発揮します。
- 制度の種類
- テレワーク(リモートワーク)は働く「場所」を自由にする制度で、オフィス以外(自宅やサテライトオフィス等)での勤務を可能にします。フレックスタイム制は働く「時間」を自由にする制度です。したがって、着目点が異なるものの、お互い補完し合う関係にあります。
- 相性の良さ
- テレワークとフレックスタイム制は非常に相性が良いと言われます。両方導入すると時間と場所の両方の制約がなくなるため、例えば「通勤時間ゼロ+通勤ラッシュ回避」で大幅な時間節約・ストレス軽減になります。また育児や介護との両立、地方在住の人材活用など、多様な働き方を実現しやすくなります。
- 導入の広がり
- 2020年前後のコロナ禍でテレワークが急速に広がった際、同時にフレックスタイム制を導入する企業も増えました。これは在宅勤務だと「通勤がない=始業を遅らせても業務に支障が少ない」ことや、「自律的な働き方」に対する経営層の理解が進んだことが背景です。その結果、リモート×フレックスの働き方を定着させている企業も多数あります。
実際、先述のソフトバンクやアサヒビールのように、テレワークとフルフレックスを組み合わせて「いつでもどこでも働ける」環境を用意する企業も出てきています。両制度の併用により、時間にも場所にもとらわれない真の意味で自由な働き方=スマートワークが実現できます。
就活の際には、テレワークとフレックスがセットで導入されている企業は先進的な働き方改革を推進していると考えて良いでしょう。そのような企業では成果主義や自主性が尊重される風土があり、若手にも裁量が与えられやすい傾向があります。
企業のフレックスタイム制の実態を知るには?
フレックスタイム制に興味を持った就活生の方は、企業ごとの導入状況や実際の運用実態も気になりますよね。ここでは志望企業のフレックス制度を調べる方法や、面接で上手に質問するコツを解説します。
企業研究におけるチェックポイント
企業研究では「その会社にフレックス制度があるか」「あればどう運用されているか」をアンテナに入れて調べてみてください。ただし待遇面ばかりに注目しすぎると本末転倒ですので、仕事内容や企業理念など総合的な視点で情報収集する中で、フレックス制度にも目を配るという意識が大切です。
まず、企業のフレックスタイム制について事前に情報収集する方法をいくつか紹介します。就職活動で企業研究をする際、以下のポイントに注目してみましょう。
求人票・募集要項の「勤務時間」欄
最も基本的なのは、各社の求人票に勤務時間の記載がないか確認することです。例えば「勤務時間:9:00~18:00(フレックスタイム制あり、コアタイム11:00~15:00)」のように書かれていれば、その企業はフレックス制度を導入しています。まずは志望企業の募集要項をチェックし、フレックスに関する記載を探してみましょう。
企業の公式サイト(採用情報や働き方紹介ページ)
会社のホームページには「働き方」「福利厚生」などの項目でフレックスタイム制について触れられていることがあります。特に大手企業は「働き方改革」の事例としてフレックス制度の導入をPRしているケースもあります。企業研究の一環として、「◯◯(社名) フレックスタイム 制度」などで検索してみるのもおすすめです。
業界全体の傾向を把握
上述のように業界によってフレックス普及度はかなり違います。志望業界がITや専門職系であれば比較的多くの企業が導入していますし、逆に店舗サービス業などでは稀です。そのため業界研究としてフレックス導入企業の例を調べてみると、おおよその傾向が掴めます。業界団体や行政の発表資料、ニュース記事なども参考になるでしょう。
社員やOB・OGからの情報
可能であれば実際にその企業で働いている人やOB訪問で話を聞く機会があれば理想的です。フレックスタイム制が「形だけで全然使えていない」「部署によって事情が違う」など、内部のリアルな運用状況は社員にしか分かりません。最近は社員口コミサイトもありますが、情報の信頼性には注意しつつ参考程度に見るのも良いでしょう。
面接での質問例と回答のポイント
実際に志望企業の選考が進み、面接の場でフレックスタイム制について話題にする機会もあるかもしれません。ここでは「企業側へ質問する場合」と「自分が答える場合」のそれぞれで、押さえておきたいポイントを紹介します。
面接官にフレックスタイム制について質問する場合(逆質問)
選考の後半では「何か質問はありますか?」と逆質問の時間が設けられることがあります。そこでフレックス制度に関して聞いてみたい場合は、次のような聞き方が考えられます。
このように質問すれば、採用担当者からフレックスタイム制の具体的な利用状況(例えば「コアタイムは◯時~◯時で、ほとんどの社員が利用しています」等)や会社の方針を教えてもらえるでしょう。
また「◯◯さん自身は当社のフレックスタイム制についてどう思いますか?」と逆に聞かれる可能性もあります。その場合に備えて、自分なりの考え(フレックス制度があることでどう働きたいか等)を整理しておくと安心です。
面接官からフレックスタイム制に関する質問を受けた場合
企業によっては、「当社はフレックスタイム制だけど大丈夫ですか?」とか「フレックスで働く上で心がけたいことは何だと思いますか?」といった質問をしてくることがあります。
特にこれまでフレックス経験のない新卒の場合、企業側も適応できるか気になるポイントです。聞かれた際は、柔軟な働き方への意欲と自己管理・責任感をアピールできる回答を心がけましょう。
このように、自主性と協調性の両面からアピールすると好印象です。ポイントは、フレックスタイム制に対してネガティブな不安を語るのではなく、前向きに活用したい姿勢を示すことです。
「通勤ラッシュを避けられる点がありがたいです」程度であれば問題ありませんが、「朝が苦手なのでフレックスだと助かる」など自己都合ばかり強調するのはNGです。あくまで「柔軟な制度の中で自分も成長し貢献したい」というスタンスで答えるよう意識しましょう。
まとめ
フレックスタイム制(フレックス)とは、一定期間の総労働時間の範囲内で日々の勤務時間を調整できる柔軟な働き方です。コアタイムとフレキシブルタイムを組み合わせ、自分に合ったペースで働けるため、ワークライフバランス向上や効率的な働き方につながる一方、コミュニケーション不足や自己管理の難しさといった課題もあります。
日本では徐々に導入企業が増えており、特にITや専門職の分野で普及が進んでいますが、まだ全体から見ると限定的です。就活生にとっても、フレックスタイム制は企業選びの新たな視点になりえます。自分の理想とする働き方に近い制度を導入している会社であれば、入社後のミスマッチが減り、長期的に働きやすいでしょう。
今回紹介したように制度の有無や運用状況を調べ、面接でも上手に質問・対応することで、「働き方」にも関心を持って企業研究している積極的な姿勢をアピールできます。
最後になりますが、制度はあくまで働き方をサポートするツールです。フレックス制度があるかないかだけで企業の良し悪しが決まるわけではありません。ただ、自分に合った制度を整えている会社に出会えれば、より充実した社会人生活を送れる可能性が高まります。
ぜひ本記事の情報を参考に、皆さんの企業研究に役立ててください。柔軟な働き方を取り入れつつ、自分らしく成長できる場を見つけられることを応援しています!

