業界:陸運・海運・物流
代表取締役社長
平山 幸司
取り組む社会課題
ITで運輸サービスの改革に挑戦する!
事業内容 ■時代のニーズと共に進化する高速バス「WILLER EXPRESS」
全国を結ぶ高速バス「WILLER EXPRESS」を運行しています。徹底した安全対策はもちろん、お客様の声をもとに乗車中の快適さや便利なサービスを追求し、時代とともに進化し続けます。

■空港までの旅路をもっと便利で快適に「空港シャトル」
成田空港と池袋駅(東京)を結ぶ空港シャトルバス「成田シャトル池袋線」の運行を2022年に開始いたしました。また、羽田エアポートガーデンバスターミナルの開業に合わせて、羽田空港と三島エリア・静岡エリアを結ぶ路線を運行しています。

今後拡大していくインバウンド、アウトバウンドの利用者に向けて、より便利で快適に空港までのアクセスをご用意できるよう、路線開発、サービス開発に取り組んでいます。

■日本初、食と観光の融合した新しい体験「レストランバス」
食と観光を融合した新しい体験を提供する「レストランバス」を運行しています。
街全体をレストランに見立てて、2階建てオープンエアの解放感溢れる車窓から、非日常の特別な時間を旬の料理とともに提供します。東京で通年運行をしており、それぞれランチコース、ディナーコースをご用意しています。

■池袋の街に生まれる新たな魅力を結ぶまちなか交流バス「IKEBUS」
池袋の主要スポットをつなぐまちなか交流バス「IKEBUS」の運行を2019年11月より開始しています。

街全体が「国際アート・カルチャー都市」として大きく変わりつつある池袋エリアで、街に点在する魅力あるスポットをシームレスに繋ぐ移動装置としての機能を担い、行動範囲の拡張と回遊を促す事で人々の移動をサポートし文化をつなぎ、街にさらなる賑わいを生みだします。

■日本で自動運転車両が商用化される未来に向けた「実証実験」への取り組み
自治体や民間企業などと連携し、WILLER GROUP全体で自動運転の実証実験に取り組む中、WILLER EXPRESSは国や地方公共団体との交渉を担っています。
また実証実験を受け、実用化にあたって必要な法改正の準備にも携わっています。

■日本品質の安全と快適を海外へ「ASEAN高速バス事業」の下支え
ASEANでの高速バスは年々発達していますが、まだまだ利用者にとって快適で便利なサービスではありません。

WILLER GROUPが現地で合弁会社を設立し、地域の交通ネットワーク創出を行っています。
例えば、マレーシアのNADI WILLER SDN. BHD.(マレーシア最大級の運輸事業を手掛けるNadicorpとのジョイントベンチャー)では、MaaSプラットフォームの開発・提供に携わるほか、在ベトナムの子会社である MAI LINH - WILLER CO.,LTD(ウィラーとベトナム最大級の交通事業を提供する Mai Linh Groupとのジョイントベンチャー)では、ハノイからタンホアを結ぶ都市間バス『MAi LiNH WiLLER EXPRESS』を運行しています。

WILLER EXPRESSもGROUP横断事業を支える一員として、開発した安全運行システムや、これまでに培ったマーケティングなどの知見を活かし、高品質な輸送サービスをASEAN諸国でも展開していきます。
社長になる
きっかけ
大学生活も経済的に厳しかったので、家賃や生活費を工面するためにアルバイト漬けでした。 3年生で大阪に戻ってからは、昼は会社員のように働き、… 続きを見る
出身地 大阪府
趣味特技 ゴルフ, スポーツ観戦, 動画配信鑑賞
生年月日 1970/03/08
平山 幸司イメージ

20秒メッセージ


人を想い、社会を動かす。そんな仕事を共に。
目次

失敗を糧に、挑戦を力に変えたキャリア

どんな幼少期・学生時代を過ごしたか教えてください
── ご家族はどんな方々でしたか?幼少期の想い出を教えてください
父が建設会社の下請けを営んでいたこともあり、幼い頃から「仕事」は常に身近なものでした。
バブル期には景気の良さを実感できた一方で、その後の不況による厳しさも直に体験しました。そうした環境の中で、母からは「安定したサラリーマンになりなさい」と繰り返し言われていたのを覚えています。
また、小学生の頃には父の給与計算を手伝い、働いた日数や単価を電卓で打ち込み、実際に給与を算出する作業に関わった経験もあります。その時に「人に給料を払うことの大変さ」「一人ひとりの生活を支える責任の重さ」を肌で感じました。幼少期から仕事やお金の流れを身近に体験してきたことが、今の自分の働き方や価値観の基盤となっています。

学生時代について詳しくお聞かせください
── 学生時代はどのように過ごしていましたか?学生時代の想い出を教えてください
高校・大学時代には、父の紹介で建設現場のアルバイトに取り組んでいました。
高校時代は水泳で培った体力を活かし、冬のトレーニングがない期間に現場で汗を流しました。
大学に進学してからは、夏冬を問わず継続的にアルバイトを行い、体を使って働き、お金を得ることの大変さを実感しました。現場では、職人の方々の表情や立ち居振る舞い、言葉のやりとりなどから、人間性や人との距離感を肌で感じ取ることができました。
単なる作業だけでなく、互いに信頼し合い、支え合って成り立つ現場の空気感に触れたことは、今の自分の仕事観や人との関わり方に大きな影響を与えています。あの頃の経験は、働く意味を深く考えるきっかけとなり、今の現場感覚や人との向き合い方に直結しています。

社長になるまでのきっかけやキャリアについて伺います
── 会社を任されることになった背景や、その時の気持ちを教えてください
大学生活も経済的に厳しかったので、家賃や生活費を工面するためにアルバイト漬けでした。
3年生で大阪に戻ってからは、昼は会社員のように働き、夜は家庭教師という生活。
就職活動も目標を失ったまま、とりあえず大手企業を受けました。しかし、大企業の製造業や金融などを見ても「歯車になるだけだ」と感じ、やがて「自分が主役になれる業界」を探すようになり、最終的に旅行会社に進みました。
就職先で同期300人の大半が営業職に配属される中、なぜか商品企画の部署に。
右も左もわからないまま、2年目に商品担当を任されました。そこで大きなミスをして、数百箇所も誤りがあるパンフレットを印刷してしまったんです。
しかし怒られるどころか「こんな素人に任せた方が悪い」と事業部長が課長を叱責していて、自分はまだ怒る価値すらないと思われていることが本当にショックでした。
その経験がターニングポイントになり、そこから仕事への姿勢が大きく変わったんです。真剣に、誠実に取り組むことの大切さを学び、2年目以降は別人のように必死で働きました。
あの失敗があったからこそ、本気でこの仕事をやっていこうと思えるようになりました。
また、旅行業界の転機を感じ、転職した先でWILLER株式会社の村瀬に出会いました。
のちにWILLER EXPRESSの代表を任せていただき今に至ります。

安かろう悪かろうを覆す、新しい移動のかたち

企業名に込めた想い・由来を教えてください
もっと世の中に役立ち、足跡を残すような仕事をしたい── そんな強い想いを原点に、当社は「ミッション」と「ビジョン」、2つの志(WILL)を軸にしたフィロソフィーを掲げ、事業を展開してきました。
創業当初、高速バスはごく一部の人しか利用しない交通手段でしたが、私たちはその可能性を信じ、安心・安全・快適さを追求しながらサービスを進化させ、人々の生活を支える身近なモビリティへと成長させてきました。
「世の中のために」「人々に喜ばれる存在に」という想いと行動の積み重ねが、現在のWILLER EXPRESSという社名にも込められています。
志を胸に、より便利で快適な移動を届け続けることで、新しいモビリティの未来を切り拓いていきます。

事業を始めるきっかけについて教えてください
── 前任者が掲げていた理念や価値観について、どのように感じましたか?また、継承時に「変えたくないこと」と「新たに取り組みたかったこと」は何ですか?
まさに「お客様に何を約束するか」という視点で、私が掲げたのは「最先端の技術」と「心」で実現する“優しい移動サービス”でした。
そのために車両やIOTを積極的に導入し、業界で前例のない取り組みを進めてきました。従来のやり方を否定するわけではありませんが、一段階上のレベルに引き上げる必要があると感じました。
シートなどのハード面だけでなく、運転士の接遇や安全性といったソフトサービスを徹底的に磨き上げることで、他社が真似できない価値を提供できると考えています。
一方で、元の会社から「変えたくなかったもの」はほとんどありません。2015年提携先企業が事故を起こしてしまい、むしろ当時の仕組みはすべて作り直すべきだと考え、
2016年からは全否定に近い形で再スタートしました。失った信頼を取り戻すには、従来の延長ではなく“まったく新しいモデル”を築くしかなかったからです。
そのため人員体制も大幅に入れ替え、運行管理の仕組みも徹底的に刷新しました。今では日本はもちろん、世界的に見てもここまでやっている会社はないと自負しています。

事業に込めた想いについて教えてください
── この事業を通じて、どのような想いを世の中に届けたいと考えていますか?
運輸事業を運営しているとどうしてもメディアの影響もあって、事故があると「怖い」という印象や、「安かろう悪かろう」という認識を持たれることが多いと思います。
ですが、私はそうしたイメージを打ち破りたいのです。世の中の人々の期待を良い意味で裏切るようなサービスを作ることこそ、今まさに取り組むべきことだと考えています。
そして実際にそう言っていただけると、「やっていて良かった」と心から思いますし、大きな励みになりますね。

挫折も財産。人の想いに寄り添う経営。

趣味・特技について伺います
── 趣味や特技に関してのエピソードがあれば教えてください。また、趣味や特技が仕事に活かされているなと感じたことはありますか?
今風にいうと「プライベート重視」という考え方かもしれませんが、私はまさにワークライフバランスを大事にしています。仕事には全力で取り組みますが、プライベートも同じくらい充実させたいんです。「よくそんな時間がありますね」と言われるくらい、遊びも本気で楽しんでいます。
趣味というよりライフワークに近いのがゴルフです。ゴルフの面白いところは、その人の人柄や性格がよく出るスポーツだということ。
仕事関係の方とも一緒に回るので、「なるほど、この人はこういうタイプなんだ」とわかることも多いです。トランプ氏がゴルフについて語ることがよく理解できる気がしますね。
それから、映画やドラマも大好きです。昔ホテル関連の仕事をしていたので、ホテルが舞台の作品だと一瞬で「あ、あのホテルだ」とわかるくらい詳しくなりました。
ドラマや映画には、その時代の食事、音楽、ファッションなどのトレンドが反映されていて、とても刺激になります。

経営者としての「自分らしさ」についてお聞かせください
── ご自身の強みや個性について、どのように捉えていますか?また、その強みを活かして、どのように事業や経営に反映させていますか?
私はこれまで、子どもの頃からずっと挫折を繰り返してきました。やりたかった夢が叶わなかったり、大学受験に失敗したり、就職してからも思うようにいかなかったり。
振り返ると、人生の節目ごとに「うまくいかない経験」を重ねてきたかと思います。
ただ、今振り返るとその挫折こそが自分を大きく成長させてくれたのだと強く感じています。
困難を乗り越える中で、人の気持ちに寄り添う力や配慮が自然と育まれたと思います。
挫折を知らずに順調に成長してきた人よりも、苦しさや悔しさを味わった人のほうが、人に優しくなれる。私はそう信じています。
ピカピカで順風満帆にきた人よりも、困難に直面してそれを乗り越えてきた人と一緒に働いていきたいです。

ご自身の経営者としての強みを活かした具体的な取り組みについて伺います
── 「これは自分だからこそできた」と思える取り組みや成果はありますか?特にこだわっている商品やサービス、または社内の文化などがあれば教えてください
一例が「WILLER LABO」です。これは高速バス運転手=ハイウェイパイロットを育成するために設立したプログラムで、未経験者でも運転技術や接客スキルを基礎から学び、修了後はWILLERのハイウェイパイロットとして採用されることが確約されています。
特長的なのは、研修の中で共同生活を行う点です。仲間と寝食を共にしながら切磋琢磨することで、ただ技術を身につけるだけでなく、互いに助け合い、壁を乗り越えていく力を養います。
狭い世界で生きてきた人も、ここで仲間意識を培い、多様な価値観に触れることで大きく成長していきます。そうして培った経験や絆が、のちに会社全体の成長にもつながっていくのだと私たちは考えています。

次世代への想いと、未来への挑戦

これから先の会社としての成長について伺います
── 会社の規模・成長率について、どのように会社を大きくしていきたいですか
今の会社は、自分にとって子どものような存在です。これをどのように次の世代へ受け継ぎ、さらに成長させていくか── それは私にとって未知の挑戦であり、いま最も大きな課題と感じています。
これまで「WILLERはサービスが一番大切だ」と言い続けてきましたが、もし自分がいなくなったらどうなるのか。その理念や想いをしっかりと伝え、形に残していかなければ、次の世代に会社を託すことはできません。
事業を成長させ続けるためには、単なる規模拡大ではなく、社員一人ひとりが理念を理解し、体現できるようにすることが不可欠です。そのために、理念を言葉として整理し、共有し、日々の行動に落とし込むこと。これこそが、今まさに取り組むべき実現課題であり、未来のWILLERを創っていくために欠かせない使命だと考えています。

これから先に取り組みたい社会貢献・社会課題解決の取り組みについて伺います
── 事業を通じてこれから先どのように貢献・社会課題に向き合っていきたいとお考えか教えてください
運輸サービスがこれから世の中でどのような存在になっていくのか── その問いを大切にしています。私たちの役割は、単に人や物を運ぶだけではなく、社会に信頼されるサービスを築き上げていくことにあります。
そのため、国内にとどまらず、海外でも安心して利用していただけるサービスへと発展させていくことを目指し、常に挑戦を続けています。
また、運輸業界の中で、私たちのサービスはすでにトップレベルにあると自負していますが、それに満足することなく、さらなる向上を追い求めています。そして、いずれは「日本のサービス」が世界中で社会に認められ、評価される日が必ず来ると信じています。その未来を実現するために、私たち自身が挑戦し続け、貢献していきたいと考えています。

経営の信念と事業の展望について伺います
── 経営者として「経営をする上でこれは絶対に譲れない」と思う信念や価値観はありますか?また、その信念を事業運営にどう反映させていますか?事業の展望について、これから先の事業をどのように拡大・運営していきたいか教えてください
私が大切にしているのは「優しい移動サービス」というビジョンです。このシンプルな言葉には、WILLERの本質が込められています。新入社員に「優しさとは何か」と問いかけると、一人ひとり違う答えが返ってきます。思いやりだったり、安心感だったり、楽しさだったり── どれも正解であり、その多様な解釈こそがWILLERらしさなのです。広い言葉だからこそ、社員一人ひとりが自分の中に意味を見出し、実践につなげることができます。
私は、この「やさしさ」を軸とした姿勢を決して譲ることはありません。効率性や利便性だけではなく、人の気持ちに寄り添い、多様性を尊重するサービスであること。それがWILLERの存在意義であり、私の経営の根幹にある信念です。この想いを次の世代へ受け継ぎ、未来へつなげていきたいと考えています。

挑戦を恐れない心が、未来を切り拓く原動力

このインタビューを読んでいただいた学生さんへのメッセージをお願いします
私は会社の規模に関わらず、新しいものを生み出していく「ベンチャーマインド」がとても好きです。
これからの時代を切り拓くうえで、この姿勢こそが重要だと考えています。
日本は物質的にも社会的にも恵まれた環境にありますが、世界に目を向けると「絶対に成功しなければならない」という強い覚悟を持って挑む人々の姿を多く目にします。
その気迫や切実さに触れると、日本がこのままでは他国に追い抜かれてしまうのではないかと感じることもあります。
だからこそ、どんな会社や組織であっても、挑戦を恐れずベンチャーマインドを持ち続けることが大切です。現状に満足するのではなく、新しい価値を生み出そうとする姿勢が未来を切り拓きます。ぜひそのマインドを胸にチャレンジを続けてほしいと願っています。