人を喜ばせる原点
どんな幼少期・学生時代を過ごしたか教えてください
── ご家族はどんな方々でしたか?幼少期の想い出を教えてください
私はよく「口から生まれた」と言われるくらい、よく喋る子どもでした。父からは「男は喋りすぎると嫌われるぞ」と釘を刺されましたが(笑)、母からすればとにかく賑やかな存在だったようです。2歳上の兄はとても面倒見が良く、勉強も遊びもずっと寄り添ってくれました。兄のおかげで私は守られ、甘やかされて育った部分も多いです。そんな兄の優しさから、人を思いやる姿勢や面倒見の良さを自然に学びました。兄が始めたバスケやバンドに私もついていき、趣味も似ていきました。今振り返ると、人への気配りや「誰かと一緒に楽しむこと」が、幼少期から私の大きな軸になっていたと思います。
学生時代について詳しくお聞かせください
── 学生時代はどのように過ごしていましたか?学生時代の想い出を教えてください
大学では理学部(当時)に進みましたが、実際は軽音楽部の活動に夢中で、ほとんどバンド漬けの生活でした。ライブハウスでお客様が喜んでくれる瞬間は、何にも代えがたい喜びでしたね。当時はバブルの真っただ中で、就職活動も深く考えずに取り組んでいたのですが、行き詰まりを感じる中で「自分にとって生き様や価値とは何だろう」と考えました。その答えは「人に喜んでもらうこと」でした。プロのミュージシャンにはならなくても、仕事を通して誰かに喜んでもらうことはできる。そこに気づいたとき、自分の中でスイッチが入りました。音楽でも、仕事でも、人を笑顔にする。その原点は学生時代に培われたものです。
社長になるまでのきっかけやキャリアについて伺います
── 会社を任されることになった背景や、その時の気持ちを教えてください
最初は別の会社でシステムコンサルを目指しました。その前段としてSEやプログラミングを学び、お客様に近い立場で仕事をしました。あるとき上司から「お客様が君を褒めていたよ」と聞かされ、それが大きな原動力になりました。「あの子をまたアサインしてほしい」と言われたときの喜びは、夢のようでした。お客様から評価されることが何よりのビタミンで、馬車馬のように働いてもしんどさを感じませんでした。その後、クライアント企業のオートバックスセブンのCIOから声をかけていただき、オートバックスセブンに転職しました。そこから「経営とITは一体化すべきだ」という強い信念を持ち、今のキャリアへとつながっていきます。
挑戦を積み重ねる力
企業名に込めた想い・由来を教えてください
ABシステムソリューション時代から「挑戦」という文化が根付いていました。その良さを引き継ぎつつ、オートバックスデジタルイニシアチブ(ABDi)として独立しました。「挑戦」といっても新規事業だけではありません。日々の安定稼働を守り、トラブルに即対応することも立派な挑戦です。私は、その両方を理解しているからこそ「挑戦」という言葉を企業の軸に据えました。キラキラした新しい挑戦だけでなく、日常の努力や積み重ねもすべてが挑戦。その積み重ねが会社を動かす力になります。
事業を始めるきっかけについて教えてください
── 継承時に「変えたくないこと」と「新たに取り組みたかったこと」は何ですか?
自動車産業はいま「100年に一度の変革期」と言われています。その中でどう成長戦略を描くかは極めて重要です。オートバックスセブングループのシステム基盤を支えるABDiがあるからこそ、グループ全体の変革を後押しできる。だからこそこの事業に挑戦することを決意しました。独立を決めたのも、グループを引っ張っていく存在でありたいと考えたからです。
事業に込めた想いについて教えてください
── この事業を通じて、どのような想いを世の中に届けたいと考えていますか?
私にとって事業は「人に喜んでもらう」ことの延長線上にあります。新規事業を創るのも、日々の運用を守るのも、すべては誰かの体験をより良くするためです。そして挑戦を恐れず積み重ねることで、社会に新しい価値を届けられると信じています。ABDiが挑戦を続ける限り、必ず成長し続けられると考えています。

言葉と場で伝える力
趣味・特技について伺います
── 趣味や特技に関してのエピソードがあれば教えてください。また、趣味や特技が仕事に活かされているなと感じたことはありますか?
趣味はバスケと音楽です。人を喜ばせたいという想いはここからも来ています。特に音楽はアナログ志向で、ギターを弾くことに高揚感を覚えます。デジタル社会でAIが音楽を作ることもできますが、私は「自分で作り出す」瞬間に価値があると思っています。仕事でも同じで、システムは人が作るからこそ価値が生まれます。最終的には、人がワクワクしながら取り組めることが大事なんです。
経営者としての「自分らしさ」についてお聞かせください
── ご自身の強みや個性について、どのように捉えていますか?また、その強みを活かして、どのように事業や経営に反映させていますか?
私は「言葉で伝えること」を大切にしています。月に2回の朝礼では、資料を見ずに話すことも多いですが、実は前日にしっかり準備しています。アドリブのように見えて、言葉を通して意思を正確に伝える工夫をしているんです。また、意思決定の際には必ず理由を説明します。YesやNoだけでなく、なぜそうなったのかを明確にする。これは経営者として絶対に欠かせない姿勢だと思っています。
ご自身の経営者としての強みを活かした具体的な取り組みについて伺います
── 特にこだわっている商品やサービス、または社内の文化などがあれば教えてください
「デジタルラボ」という取り組みを始めました。これは社員が作ったサービスを展示し、顔の見える形で成果を発表できる場です。システムは形が見えにくいものですが、自分が生み出したものを堂々と示すことができる。この場を通して、社員一人ひとりの挑戦を見える化し、モチベーションを高めています。
挑戦と成長の未来図
これから先の会社としての成長について伺います
── いま、会社を経営するにあたって難しいと感じている課題など「壁」はありますか?また、会社の規模・成長率について、どのように会社を大きくしていきたいですか
オートバックスグループはグループ全体で売上5,000億円を目標にしています。私はそれを達成できると確信しています。ただし、現状の120名体制ではリソースが足りません。150名、200名と人材を増やし、AIを活用しながら社員の技術力を底上げしていく必要があります。また、オフショア開発を進め、グローバルな協力体制を築くことも不可欠です。大きな壁もありますが、それを乗り越えてこそ成長がある。ABDiはグループ成長の要として、その挑戦を支えていきます。
これから先に取り組みたい社会貢献・社会課題解決の取り組みについて伺います
── 事業を通じてこれから先どのように貢献・社会課題に向き合っていきたいとお考えか教えてください
交通事故や渋滞を減らすことは、自動車産業に携わる企業として非常に重要な使命だと考えています。せっかくの家族の思い出が事故で台無しになることは絶対に避けなければならない。そのための技術と仕組みづくりに挑戦していきます。また、カーボンニュートラルへの取り組みも当然進めますが、それはどこでもやっていること。私たちは「人のいのちを守る」ことを第一に考えています。
経営の信念と事業の展望について伺います
── 経営者として「経営をする上でこれは絶対に譲れない」と思う信念や価値観はありますか?その信念を事業運営にどう反映させていますか?
私の信念は「経営とITは一体化すべき」というものです。そして「社員はコストではなく投資対象である」という考えを絶対に譲りません。社員の成長が企業の成長につながり、その成長が社会貢献を生み出す。教育や投資なしに未来は開けません。だからこそ、社員一人ひとりの挑戦と成長を支えることが、私の経営者としての使命です。

最高の高揚感を共に
このインタビューを読んでいただいた学生さんへのメッセージをお願いします
皆さんにはぜひ「自分なりの価値観」を磨いてほしいと思います。まだ確定していなくても構いません。少しでもやりたいことを見つけ、その価値観を大切にしてください。そしてABDiに来てくれたら、私たちと一緒に最高の「高揚感」を味わってほしい。人を喜ばせ、自分も高揚できる瞬間。それを仲間と分かち合えるのがこの会社の魅力です。
