業界:IT系
代表取締役社長
日向 正嗣
取り組む社会課題
お客様先にIT機器の導入や保守を行い、世の中のITインフラを整える。AIが発展している今だからこそ人と人のつながりを大切にした仕事を行う。
事業内容 IT機器の導入および保守
社長になる
きっかけ
新卒で入社したのは、コスモ証券(現、岩井コスモ証券) という会社でした。最初の1年間は、研修も兼ねて必ず営業職を経験してもらうという会社方針… 続きを見る
出身地 愛知県東郷町
出身校 立命館大学 経済学部経済学科
趣味特技 サウナ, 読書, お酒を飲む, マジック,モノポリー
生年月日 1976/08/27
日向 正嗣イメージ

20秒メッセージ


自分の成長と挑戦のワクワク感で仲間と一緒に作る未来
目次

サラリーマンから起業家へ。挑戦を続ける理由

どんな幼少期・学生時代を過ごしたか教えてください
── 出身地はどちらですか?ご家族はどんな方々でしたか?幼少期の想い出を教えてください
愛知県の東郷町、名古屋と豊田の間にあるこの町で生まれ育ちました。小中学校は地元の公立校に通っていましたね。

小さい頃はサッカーや野球に熱中し、中学の部活動ではバスケットボール部に所属していました。パソコンとの出会いは小学校の頃。PC98などが流行っていた時期に、三菱のMSXという汎用機を買ってもらい、父と一緒にパソコン雑誌を読みながらプログラミングを組んでいました。特に思い出深いのは、1年ほどかけて「ドラクエ」の戦闘シーンを再現するゲームプログラムを作ったことです。もちろん、ファミコンなどのゲームも大好きで、「ドラクエ」のようなRPGや「三国志」のような戦略シミュレーションゲームには夢中になりましたね。

休日にはボーイスカウトの活動に参加し、学校では児童会や生徒会にも所属していました。好奇心旺盛で、「みんなで何かのプロジェクトを行う」ことがとにかく好きでした。

家族は姉が一人います。父は建築系の大手企業で働き、母は地元の親族が経営する建築会社の事務をしていました。今でも地元に住んでいて、大学から就職した頃までは自分が飛び回っていたので会う機会も少なかったのですが、会社を創業してからは近くにいますし、姉夫婦も近くに住んでいるので、よく会いに行っています。親孝行できているなと感じています。

学生時代について詳しくお聞かせください
── 学生時代はどのように過ごしていましたか?就職活動のエピソードや学生時代の想い出を教えてください
高校は私立愛知高校に通っていました。現在は共学ですが、当時は男子校の進学校です。マンモス校で、僕は推薦で普通科に入学し、2年時に特進クラスへ進んで、それなりに勉強に取り組んでいました。元々、地元の小中学校はのんびりしていて、自分の学力はそこまで高くないんじゃないかなと高校時代に気づいたんです。

高校時代は美術部に入っていて、絵は苦手なのですが陶芸などが好きでした。クイズも好きで、高校生クイズなどにも出場しましたね。その頃、「ウルトラクイズ」で立命館大学のクイズサークル「RUQS」の長門勇人氏や永田喜彰氏らが優勝していたこともあり、立命館大学を第一志望にしていました。

そんな理由で立命館大学経済学部に入学したのですが、大学でハマったのは「マジック」と「モノポリー」です。マジックは、留学中にハリウッドにある社交場「マジックキャッスル」のマジシャンメンバーとして腕を磨きました。モノポリーはその後も趣味として続け、2020年度には日本選手権を制し、日本チャンプになることができました。

留学は、3年生が終わる頃、親から「学生時代やり残したことはあるか?」と聞かれて、「留学したかったな」と話した時に、「今から行って来たらいいじゃないか」と背中を押してもらい、2年間アメリカのロサンゼルスに行ってきました。語学学校からコミュニティカレッジ、DeVry大学への編入を試みたのですが、全然ついていけずに卒業せずに戻ってきています。遊びまわっていた大学時代でしたが、人間的には一番成長した期間だと思います。

留学から戻ってきて就職活動をした時は、まさに「リクナビ」の時代でしたね。留学前にも一度就職活動をしていたのですが、その頃はまだ大量のはがきでオファーが来た時代で、ちょうど時代の入れ替わり期に就職活動ができたのは、採用人事権者として非常に良い経験を積めたなと感じています。

大学時代から証券投資にはとても関心を持っていて、最初は営業担当の方と取引していた時代から、オンラインでブラウン管を並べてデイトレードの黎明期を過ごしていました。就職活動の時には、ITと証券を軸に回っていましたが、「これからオンライントレードを作りたい、力を入れたい」という役員の方がいた証券会社があり、就職氷河期で何十社も選考落ちする中、内定をいただくことができました。とても嬉しかったことを覚えています。

社長になるまでのきっかけやキャリアについて伺います
── 初めて就職したきっかけや、その職場での経験を教えてください。また、会社を立ち上げることに対して、準備など取り組んだことを教えてください
新卒で入社したのは、コスモ証券(現、岩井コスモ証券) という会社でした。最初の1年間は、研修も兼ねて必ず営業職を経験してもらうという会社方針でしたが、当時の社内ミドルウェアの掲示板機能に、時間のある時にオンライントレードの可能性や事業としての魅力、業界動向などを調べて書き込んでいたんです。誰も書き込まない超過疎った掲示板でしたが、そういうものは経営陣や企画系・情報系の人たちが見ているもので、結果的に3か月で希望部署に異動になりました。同期は皆1年営業していましたが、何百人いようが、機会は自分で掴むものだと思います。

配属されたのはメディアマーケティング部。当時、まだオンライントレードは独立した部署になっておらず、ホームページなどを作っているのがマーケティングの部署だったので、そこで業務を行っていました。僕のマーケティングの知識はそこで身につきましたね。ホームページの管理者もしていたので、PHPやMySQLもその時代に覚えました。

当時、新進のネット証券が真新しいシステムで新しいオンライントレードの世界を切り開く中、私たちはボロボロの既存システムを抱え、表面だけトレードシステムを構築していました。スピード優先で機能を継ぎ足し、残念なUIではあったのですが、一つずつ手作りで作っていく感覚は本当に面白い仕事体験でした。

コスモ証券の「ネットレ」は、システム的にはもう少しでしたが、マーケティングの力で業界に燦然と爪痕を残しました。それが「月額定額制手数料」、今でいうサブスクモデルだったんです。これは超面白い話なので、また機会のある時にでもお話ししたいですね。

オンライントレードのビジネスが軌道に乗ってくると、当然社内でも注力されるようになり、最若手だった僕はだんだんと本流から外れていきました。本部から現場へ、企画から運用責任者へと立場が変わっていったんです。投資信託の実装プロジェクトが完了した際に、自分の力をもっと発揮できる環境はどこだろうと考え、独立を選びました。

理念やビジョンはもちろん大切ですが、自分にとっての創業は「自分の力を発揮して世に問いたい。好きな仲間を自分で選んで一緒にチャレンジしたい。」それが当時の本音でしたし、原点でしたね。

『人間力』で繋がる信頼。サービスの本質を見つめ直した企業の想い

企業名に込めた想い・由来を教えてください
「トライアンフ」は、マジック業界の巨匠、ダイ・バーノンのカードマジック代表作の一つで、表裏ばらばらに混ぜたはずのカードが最後の一瞬で揃う、というマジックです。

学生時代、このマジックをギミックの無いレギュラートランプで見たのが本当に衝撃的で。今でも大好きなマジックですし、会社名を考えていた時にも第一候補はこれでした。よくバイクメーカー由来かと聞かれますが、マジック由来なんですよ。

事業を始めるきっかけについて教えてください
── この事業を手がけることになったきっかけや経緯はどのようなものですか?この事業を通じて、最初に「実現したい」と思ったことは何ですか?
僕たちが創業する頃まで、多くのメーカーではカスタマーエンジニアが直接現場対応していました。それが1990年代頃からアウトソースの波が来て、派遣の自由化も進みました。我々が業界参入していく頃には、昔ながらの職人に加えて、新規の軽作業派遣の人が山のようにキッティングやアフターサポートなどのカスタマーエンジニア領域に入ってきていたんです。

特に気になったのが、現場での振る舞いや姿勢でした。職人気質の強い人も多く、現場での言葉遣いや対応があまりにもひどい。
「指示通り製品を納入したり、入れ替えたらそれでいい」という空気が蔓延していて、サービス業とは到底呼べない光景も少なくありませんでした。お客様に寄り添ったサービスはなく、笑顔もないし、必要な技術もない。何よりも自分の仕事に対して誇りがない。ミスは徹底的に叩かれ、皆保身に走り、「サービスはコストだ」と言われ続け、新規参入者や一過性のサポートメンバーは嫌がられました。

僕はこれが嫌で、「全方位的にもう一歩寄り添った優しさ」と「サービス品質にかけるプライド」を大切にできる企業を創りたいと思いました。

この事業を通して実現したいことの一つに、カスタマーエンジニアのやりがいや意義を広め、多くの新規参入者にこの仕事の楽しさや技術、コミュニティの広がりを伝えていけると嬉しいです。

事業に込めた想いについて教えてください
── この事業を通じて、どのような想いを世の中に届けたいと考えていますか?
カスタマーエンジニア、サービスエンジニアは、かつては「コストセンター」として捉えられていました。「サービスはただだから、企業としては手がかからない方が損がない」というような考え方でしたね。

しかし、サブスクリプションモデルが広まり、ソフトウェアやクラウドから現実のビジネスに落とし込まれるにつれて、「カスタマーサクセス」という概念が広まってきました。これまでは営業担当だけが顧客接点を求めて売り切れば良いという考えから、全ての顧客接点で顧客満足度を高め、LTV(ライフタイムバリュー:顧客が取引を開始して終了するまでの期間に企業にもたらす利益の総量)を高めていくことが重要だと言われるようになり、私たちカスタマーエンジニアの価値は、ビジネスのど真ん中に移動しました。

つまり、カスタマーエンジニアの本質は、技術がどうこう、あるいはその機会がどうこう、というよりも、きちんとエンドユーザーのビジネスの成功に寄り添って、満足度を上げていけるサービスができるかどうか、ということに尽きるのです。どんなに素晴らしい製品やサービスでも、それを提供する“人”がどうあるかで、受け取る印象はまったく違ってきます。だからこそ、僕たちは「人間力」を大切にしたい。誰に対しても丁寧で、誠実で、優しくある── それを貫くことで、信頼される会社になっていけると信じています。

『ご機嫌であれ』という信念で、社員と共に成長する

趣味・特技について伺います
── 趣味や特技に関してのエピソードがあれば教えてください。趣味や特技が仕事に活かされているなと感じたことはありますか?
僕の趣味の一つに、モノポリーを始めとしたボードゲームがあります。ボードゲームは対人で、一定のルールの元、何度でもチャレンジできますよね。その攻略は示唆に富み、現実世界でも大きく活きてきます。

私は2020年度のモノポリー日本チャンプです。モノポリーというゲームは、不動産の売買を行い、自分の所有物件に家を建て、そこにライバルのプレイヤーが止まることによって収益を得ていくゲームです。物件の売買を行う時には、お互いのメリットを考え、フェアな取引を行う仲間であり、お互いの物件に止まるたびに行われる収入・支払いではライバルになります。

このゲーム、序盤では、一周回るたびに給料(サラリー)で定期収入が入るのですが、それだけではいつかライバルの高額物件に支払いをすることになって、絶対に勝てません。勝つには、物件を揃え、家を建てるという「投資」を行わなければならないのですが、それにはタイミングがあり、相場があり、緻密な心理戦があり、交渉においては信頼感が大切で、最後に運があります。

モノポリーの日本選手権では、地方予選があり、全国大会があるのですが、運だけではもちろん勝ち残れませんし、うまく論理的なだけのプレイヤーも日本一は難しいと思います。ちょっとしたコツをお話しすると、交渉では「受け身」でいては勝ちきれません。

まさに、現実に活きる趣味の宝庫ですね。もちろん、ゴルフなど直接お客様とコミュニケーションできる趣味も良いと思いますよ!

経営者としての「自分らしさ」についてお聞かせください
── ご自身の強みや個性について、どのように捉えていますか?また、その強みを活かして、どのように事業や経営に反映させていますか?
僕が最近の研修で話しているテーマがあります。それは、「ご機嫌であれ」ということです。

自分の「らしさ」は、やっぱりいつでもご機嫌でいること。人間、いつだって良いことばかりじゃないですし、仕事をしていると嫌なことや不愉快なこともありますよね。それでも、良いパフォーマンスで仕事をするにも、お客様や社員のみんなと円滑にコミュニケーションを取るにしても、困難なことを軽々と超えていくにしても、ご機嫌でいることってとても大事なんです。

ご機嫌な人のところには、良い人も集まりますし、信頼もされて、お客さんからもいろんな相談をしてもらえる。正直に言うと、ご機嫌でいることって、上司や取引先にとってはもはやマナーの一つなんじゃないかって思うんですよね。

当然、組織なのだから、厳しく規律を守らせることや、そのために管理しなければいけない人や物事は必要だと思います。でも、少なくともトップは明るく、いつもご機嫌でいないと、社員の人生を巻き込んで夢を追いかけている責任は取れないかなと感じています。

ぜひみんなも、働くにあたっては、ご機嫌でいることを大切にしてほしいです!

ご自身の経営者としての強みを活かした具体的な取り組みについて伺います
── 特にこだわっている商品やサービス、または社内の文化などがあれば教えてください
最近世間でも「人的資本投資」という言葉を耳にするようになりましたが、「人への投資が最も企業を成長させる上で効率的だ」というのは、まさにその通りだと思います。だからこそ、私達は「福利厚生」についても、「投資」という視点で捉えています。金融業界出身である私だからこそ、この視点を持つことに意味があるとも言えるでしょう。

福利厚生は、社員側の視点から見れば、会社が生活を少しサポートしてくれる良いものだと感じるかもしれません。しかし、会社側からすると、使い道をある程度厳選してその人に付加できる予算なんです。

例えば、当社の奨学金支援制度は、「長く定着してくれる人ほど手厚くなる、それまでの教育に支払うコスト」のような設計になっています。長く定着してくれたら、最終的には当社が専門学校や大学の教育資金を負担するという制度です。

また、「健康増進手当」は、健康を維持してもらい、長く高いパフォーマンスでいてもらうための投資と考えています。運動を生活に取り入れている人は、精神的にも肉体的にも安定していますからね。

「食事補助(チケットレストラン)」は、最低限の食費の補助です。お金がなくなると食費を削る人が多いですが、それでは企業側も困りますからね。もちろん、資格手当は技術の向上に寄与しますし、iDeCo補助などは、将来の資産形成の安心がパフォーマンスに大きく影響します。

もう一つ、「HFA(ハッピーファミリーアニバーサリー)」という福利厚生制度を紹介しましょう。これは、家族やパートナーの誕生日に、会社からお肉やお酒などのプレゼントが贈られ、お祝いするというものです。ぶっちゃけ、家族や親しい人との人間関係は、一番パフォーマンスに影響しますからね。でも、親しい人にあまり「ありがとう」と言わない日本人、それではいけません。

このように、仮に給与として支払ってしまえば、会社の意思をそのお金に込めることはできません。しかし、「福利厚生」はまさに「人的資本投資」でしょう? だからこそ、当社の会社では、世間によくある保養所のようなものは買わないでしょうし、カタログギフトのようなものもやらないと思います。それらでは、まったく投資にならないからです。

挑戦の先に、共に成長できる未来がある。社員の力を信じ、共に社会貢献を目指す企業へ

これから先の会社としての成長について伺います
── いま、会社を経営するにあたって難しいと感じている課題など「壁」はありますか?また、会社の規模・成長率について、どのように会社を大きくしていきたいですか
当社は20期に向けて年商10億円の達成に向かって歩んできました。実際の達成は21期になりましたが、その目標への道のりは簡単ではありませんでした。
これまで、社員10人の頃に年商1億円を達成し、30人の時に3億円、50人の時に5億円となり、その頃には、概ね社員1人当たり1000万円の年商が上がるビジネスモデルだと理解していました。そうであれば、年商10億円を目指すためには、100人まで社員を採用し、運用すれば達成するのではないか?そう仮説を立て、社員採用に力を注いできたんです。しかし、100人を超え、110名、120名になっても年商10億円には届かず、その時になって初めて、生産性が落ちていることに気がついたのです。
今、会社を経営する中で一番の壁と感じているのは、人材の問題です。世に言う「10億の壁」「100人の壁」というものは当社にもそのまま当てはまり、ここからは社長がエースで4番のような形では伸びていかない。社長である自分が育成し、モチベートしていく人数規模を超えていくのです。自分がプレイヤーや管理職を育成していくフェーズから、管理職が管理職を育成していく、社員にリーダーシップやキャリアを語ってもらうフェーズに移行していかなければなりません。
そうした取り組みを愚直に採り続け、ようやく10億円の壁を破りましたが、まだまだ幹部職の人材育成が順調なわけではありません。より大きな次のステップに臨むためには、人を惹きつけ、育て、事業を力強く推し進める人材を、もっともっと作っていかなければならないと感じています。
年商10億円を達成した今、次なる10年を使って、年商100億円、純資産10億円を目指していきたいと思っています。この長期計画を私は「プロジェクト・テンバガー」と呼んでいます。テンバガーとは証券用語で、10倍になる株のような意味で使われる用語ですが、現在の年商10億円、純資産1億円から、10倍になるようにという気持ちを込めてプロジェクト名を付けました。
私はよくこの業界のやりがいを話す時に、「GIGAスクールや病院でのマイナカードオンライン資格認証端末の導入作業など、新しい時代の社会実装の役に立っている実感がある仕事です」と説明していましたが、そのような国家的な大プロジェクトは、全体で見れば当社の役割は一部のエリアやボリュームに過ぎません。お客様である大手メーカー様などとお話ししている際に、「俺たちがこの国家プロジェクトを推進したんだ」という誇らしい真っ直ぐな気持ちを伺って、羨ましいなと思っていたのです。しかし、よく考えてみると、この10年で当社も全国に広がり、社員も協力してもらえる関係者も増えました。近い将来には、こうした国家プロジェクトも「トライアンフさんがいてくれたからこそ実現した」と言ってもらえるような会社になれると思えてきました。そんな規模感が年商100億円なんです。
そういう会社を一緒に創っていける、夢を共有できる仲間を集めていきたいと思っています。

これから先に取り組みたい社会貢献・社会課題解決の取り組みについて伺います
── 事業を通じてこれから先どのように貢献・社会課題に向き合っていきたいとお考えか教えてください
僕が感じている社会課題としては、インフラエンジニアの圧倒的な不足感です。そもそもITエンジニアが少ない中で、情報系の大学や専門学校生はプログラムを履修し、大半はプログラマーやSEを目指します。就職先はITベンチャーやSierです。職種としてインフラエンジニアに回ってきませんし、相当な大手企業だとしても、一般的な企業にエンジニアは就職していきません。これは、企業のDX化やAI化が全然進まない根本的な原因の一つでもあります。

さらに言えば、我々の業界は特に排他的で、人を育てるという意思がまるでありません。自社内はともかく、サプライチェーンで見た時は今でも何も学んでおらず、「20代の業界10年経験者」のような人材要件を平気で要求してきたりします。

AIがコーディングやデバッグなどを行う中で、IT業界内でのプログラマーの価値は、AIを駆使できる超効率的で、要件定義から実装まで一人でできる一部に仕事が集中していっています。一方、カスタマーエンジニアは、ロボットに置き換えられないほど柔軟なところで、対人的なホスピタリティが求められ、「カスタマーサクセス」の中心になってきています。IT技術者が全然育っていない一般企業の中で、高度な情報インフラを支えるカスタマーエンジニアの役割は益々大きくなってきているのです。

また、お客様がマネジメントに特化しすぎて、現場を知らないということも往々にしてありますし、僕たちのような中堅のITインフラ企業はM&Aの対象になりやすく、現場を全く知らない社長も増え続けています。

だからこそ、当社は現場を大切にし、「プロとしてのサービス品質にプライド」を持ち、お客様はもちろん、サプライチェーンも含め、人を育て続ける「全方位的な優しさ」 を持ったビジネスを展開し続ける会社でありたいと思っています。

経営の信念と事業の展望について伺います
── 経営者として「経営をする上でこれは絶対に譲れない」と思う信念や価値観はありますか?また、その信念を事業運営にどう反映させていますか?
私が経営をする上で絶対に譲れないことは、「〇〇至上主義」的な考え方です。証券会社時代は「営業至上主義」で、営業職の人たちは事あるごとにバックオフィスや本部に対し、「俺たちが食わせているんだ」と話していました。我々の業界では「エンジニアの自分の現場至上主義」がこれに当たります。

我々カスタマーエンジニアの仕事には、金額などの条件が良い仕事も悪い仕事も、エリアも、色々あります。条件の悪い仕事を愚直に頑張ったことが評価されて大きな全国案件につながることもありますし、目の前の好条件の案件は、営業が頑張ったからかもしれないし、先輩が高評価を得た結果かもしれません。そんな中、「俺のこの案件、これだけお客様から頂いているのだから、俺にもこのくらい給料を出してくれ」のようなことをエンジニア一人ひとりが言い出したら、サポートサービスを行う会社は成り立ちません。当社は透明性が高い会社ですし、派遣法の中間マージン開示などが、そうした「俺様エンジニア」を量産してきました。エンジニアへの還元を売りにしている社風の会社もあります。

また、「このくらいの金額の受けなら、このくらいのサービスで十分」のような価値観も私の最も嫌うところです。サービス業とは、お客様にファンになってもらう、心を動かしてもらうためにはどうすればよいかというお仕事です。感動を生むサービスを行うためには、期待を超えるサービスを提供したいというサービサーの心が大前提として必要です。

そのため、私は社員、サービサー一人ひとりの「あり方」を重要な評価基準の一つにしています。Well-beingと呼ばれるもので、善良で健全で、社会貢献的な意識が高く、肉体的にも精神的にも健康でポジティブで。そういうところを重要視しています。

この先の事業の拡大についても、「いいひと」をいっぱい集める会社でありたいと思います。

共に成長し、共に挑戦する。『人としてどうあるか』を大切に

このインタビューを読んでいただいた学生さんへのメッセージをお願いします
トライアンフで活躍しているのは、「トライアンフが好き。仲間が好き。お客様が好き。」と胸を張って言える人です。

私は採用基準を話す時に「活躍軸と定着軸の両軸で見ています」と伝えています。活躍し、定着する人というのは、何と言っても当社のことが好きな人なんです。ですので、評価基準の一番大事なところに「エンゲージメント」を置いています。

また、スキルや成果よりも、「人としてどうあるか」という「ウェルビーイング」を大切にしていることも当社の特徴です。誰かが困っていたら自然と手を差し伸べてしまう。そんな「善性」の高い人、それこそが私たちが一緒に働きたい仲間のあり方だと思っています。

もちろん、「コミットメント」の高さも重視しています。会社として、スキルの底上げをしていきたい、健康経営に取り組みたい、もっと取引先と仲良くする場を作っていこう、といった目標が掲げられた時に、「日々の自分の現場が忙しいから…」と取り組まない人よりも、一緒に会社の目標を実現していこうという人を応援していく会社です。

働くということは、何かを我慢して犠牲にすることではないと私は考えています。今まで大切にしてきた友達や家族、趣味など、自分らしくプライベートも大切にしながら、人生の大切な時間を当社の仲間やお客様と過ごしていただけると嬉しいです。

これを読んでくださった皆さんと一緒に働けることを、心から楽しみにしています。