人に流されず、自分の力で挑んだことがキャリアの始まり
どんな幼少期・学生時代を過ごしたか教えてください
── 出身地はどちらですか?ご家族はどんな方々でしたか?幼少期の想い出を教えてください
私は京都生まれ京都育ちで、学生時代もずっと京都でした。姉が3人いる末っ子でしたが、両親から特別甘やかされることはなく、規律を大切にした家庭で育ちました。
当時は今以上に「長男は家業を継がなければならない」という空気があった時代で、両親は「好きなことをすればいい」と言いつつも、自分の中では期待があると幼いながらに感じていました。実際に小学校の卒業文集にも「将来は家業を継ぎたい」と書いていたくらいです。
ただ、それ以外に関してはどこにでもいる普通の子供で小学生の頃から「どうすれば楽できるか」を考える癖がありました。中学受験ではその姿勢が裏目に出て失敗。
しかし、その悔しさが原動力となり、高校受験では戦略的に努力し実を結びました。「最小限の努力で最大限の結果を出す」という自分のスタイルがこの頃に形成されたのだと思います。
学生時代について詳しくお聞かせください
── 学生時代はどのように過ごしていましたか?学生時代の想い出を教えてください
高校時代は、学校が遠方にあったため通学時間が長く、部活動には所属していませんでした。その反動か、大学では集団活動を積極的にやりたいという想いが強くなり、ゴルフサークルに入りました。ゴルフは高校時代に少しかじっていたこともあり、将来のことを見据えて大学で本格的に始めることに。サークルでは会長を務めましたが、サークル活動は部活動と違って拘束力が弱く、統率が非常に難しかったです。
ただその中でも100名前後いるメンバーに「このサークルに入ってよかった」と思ってもらいたくて、純粋にゴルフを楽しみたい人も、飲み会を楽しみにしている人も、みんなが楽しめるような環境作りにこだわりました。ここで学んだ「人を巻き込む力」や「場づくりの工夫」は、今の組織運営にも大いに役立っています。色んな価値観が交わる集団の中でどうすれば一体感を持ってもらえるかを、当時から自然に考えていたように思います。
社長になるまでのきっかけやキャリアについて伺います
── 会社を任されることになった背景や、その時の気持ちを教えてください。また、事業を任されることになってから、ご自身が取り組んだことはありますか?
一度は就職活動もトライしたのですが、家業への憧れと、早く恩返しがしたいという気持ちの方が強かったため、就職活動は断念。最終的には自分の意思で家業に入りました。最終学年時にパチンコ店の玉運びのアルバイトからスタートし、同時期に簿記の資格取得にも励んでいました。
一年目は、本社で営業事務を担当し、その後営業管理を経験。少しずつ社会人としてのキャリアを重ねていきました。
そして27歳の時、突然専務に就任することに。前任だった叔父が急逝したため、社長から「やってみないか」と言われたんです。当時、明確なビジョンも何もない状態で専務になることに抵抗はありました。しかし、仲間から「あなたならやれる」と背中を押され、腹をくくりました。経営スキルもない中で手探りで経営というものに少しずつ向き合いながら、入社以降抱き続けていた「会社と従業員の距離感に対する違和感を解消していきたい」という想いが膨らみました。
そこでまず社内報を作るなど、情報発信を通して“つながり”をつくることから始めたんです。あの時の不安と覚悟が、今の私の原点です。
“人間らしい楽しさ”をつくる企業でありたい
企業名に込めた想い・由来を教えてください
「晃商」という名前には、“商売の商”を軸に据えています。そこに“晃”という字を加えたのは、商いを常に輝かしいものにしたいという思いからです。私たちの仕事を通じて地域やお客様に明るさを届けたい、そして誠実で前向きな姿勢を持ち続けたい。そんな願いを込めて、この名前を付けました。
事業を始めるきっかけについて教えてください
── 前任者が掲げていた理念や価値観について、どのように感じましたか?また、継承時に「変えたくないこと」と「新たに取り組みたかったこと」は何ですか?
創業者の祖父が経営をしている時代はパチンコ業において、「働く人を大事にする」ことを念頭に置いて経営をすることは非常に珍しかった時代。それを引き継いだ父の背中も見て、私も大切にしなければと感じたのが“人に対して真摯に向き合う姿勢”です。
継承するにあたって私自身も、ただ事業を引き継ぐだけでなく、「何を残し、何を新しくするのか」を常に考えてきました。変えてはいけないのは、“人を大切にする”という信念。逆に、自分の代で挑戦したかったのは、社内外への発信力やつながりの可視化でした。だからこそ、エンゲージメント向上や社内報といった新しい取り組みにも積極的に挑戦していくことになりました。
事業そのものは時代に応じて形を変えることもあるかもしれませんが、「人が前向きに生きられる環境をつくる」という根っこの部分は、これからも絶対に変えるつもりはありません。
事業に込めた想いについて教えてください
── この事業を通じて、どのような想いを世の中に届けたいと考えていますか?
私たちが提供するサービスは、インフラ事業のように「人間が生きていく上で最低限必要なもの」ではありません。でも、「人が人らしく生きるためには“楽しみ”や“明日への活力”が絶対に必要」だと私は思っています。
つまり、我々の事業のミッションは“最低限の幸せ”ではなく、そこに“付加価値”を加えること。だからこそ、単に遊びや飲食を提供するのではなく、「今日も来てよかった」「また明日も頑張ろう」と思える体験を「人のチカラ」で提供したいんです。実際、社内でのエンゲージメント向上に取り組んできたことで、会社の雰囲気や成果も少しずつ変わってきました。最近では、エンターテインメント事業部・フードサービス事業部で改めてビジョンを構築し、内部で高めたエンゲージメントを強みとして、強力なサービス力に転化し、圧倒的な顧客満足に繋げていこうとしています。

変わらない想いと、成長へのチャレンジ
趣味・特技について伺います
── 趣味や特技が仕事に活かされているなと感じたことはありますか?
趣味はゴルフとカラオケです。ゴルフは大学から始めてもう25年ほど続けています。最初は「将来に役立つかもしれない」と思って始めたのですが、今ではビジネスの場面でコミュニケーションツールとして非常に役立っています。取引先とラウンドする中で関係性が深まることも多いですし、社内のゴルフイベントでも一緒に汗を流すことで社員との距離も縮まります。
また、カラオケも実は大事な“場づくり”のスキルのひとつ。物まねなどで場を盛り上げるのが得意で、飲みの席でもよく歌っています。特別うまいというわけではありませんが、率先して楽しむ姿勢が周囲の空気を和らげるんですよね。趣味って“個人の楽しみ”というだけでなく、人と人とをつなぐ力があると思っています。それが仕事にも確実に活きている実感があります。
経営者としての「自分らしさ」についてお聞かせください
── ご自身の強みや個性について、どのように捉えていますか?また、その強みを活かして、どのように事業や経営に反映させていますか?
強みを聞かれて一番に浮かぶのは「偉そうにしないこと」。これは昔から意識していることです。誰とでもフラットに接することを大切にしていて、役職や年齢に関係なく、本音で話せる関係を築きたいと思っています。専務という立場になっても「それを維持するのが自分らしさだ」と感じていて、打ち合わせでもあえてフランクな空気をつくるようにしています。否定から入るのではなく、「どうやったらもっとよくなるか」を一緒に考えるスタンス。それが結果的に社員の意見を引き出し、エンゲージメントにもつながっています。
10年前から始めた“社員の声を発信する文化”も、自分自身のそんなスタンスがあったからこそ根付いてきたのだと思います。社員が「この会社に入ってよかった」と思える環境をつくることが、自分が経営者として大切にしている軸です。
ご自身の経営者としての強みを活かした具体的な取り組みについて伺います
── 「これは自分だからこそできた」と思える取り組みや成果はありますか?また、特にこだわっている商品やサービス、または社内の文化などがあれば教えてください
「これは自分だからできた」と思えるのは、やはり“エンゲージメント改革”への取り組みです。10年以上前、まだ“エンゲージメント”という言葉が社会であまり浸透していなかった時期から、従業員の思いや気持ちにフォーカスした社内文化づくりを始めました。
今や全国でも表彰いただけるレベルの組織になりましたが、当時の社内は否定的な意見も多く、理解してくれる人はほんの一握り。でも、それでも「この会社に入ってよかった」と思えるような場にしたい一心で、会社からの発信力を高めたり、理念の見直しをしたりして、コツコツと土台を整えてきました。私たちの会社は、もともと従業員を大切にする風土はありましたが、それをきちんと“見える化”して伝えることが足りなかった。だから自分の役割は、「その背景にある想いを言葉にして届けること」だと思ったんです。共感を生む文化づくりは、今でも私の一番の挑戦であり、誇りでもあります。
“共感できる仲間”と未来を描いていきたい
これから先の会社としての成長について伺います
── いま、会社を経営するにあたって難しいと感じている課題など「壁」はありますか?また、会社の規模・成長率について、どのように会社を大きくしていきたいですか
私たちはパチンコホールや飲食店運営といった事業を古くからに展開しております。一方で、新しい事業へのチャレンジも数々おこなってきました。その模索は今後も続けていくのですが、新しい事業をゼロから創ることの難しさは日々感じています。だからこそ、今ある事業への「ありがたみ」は年々強くなってきていますね。
その難しさを理解しながらも、これからの時代に合わせた変化やチャレンジは欠かせません。新卒に限らず、会社に“新しい風”を吹き込んでくれる存在をとても大切にしています。挑戦してくれる人がいることで、会社は前に進んでいけると思うからです。
チャンスがあれば一気呵成の成長も視野に入れていますが、基本姿勢としては「地に足のついた成長」を目指したい。会社が急激に大きくなりすぎると、社員同士のつながりが希薄になったり、価値観の共有が難しくなったりというリスクもある。だからこそ、着実に、社員がワクワクできるような“面白いこと”を一つずつ形にしていく。そんな成長のあり方を、私は大切にしています。
これから先に取り組みたい社会貢献・社会課題解決の取り組みについて伺います
── 事業を通じてこれから先どのように貢献・社会課題に向き合っていきたいとお考えか教えてください
これから先、私たちが目指す社会貢献の形はとてもシンプルです。「日本を元気にしたい」。それに尽きます。
今の日本は閉塞感が漂っていて、若い人も社会全体も、どこか“しんどさ”を抱えているように感じます。だからこそ、私たちが提供するサービスや環境を通じて、「明日も頑張ってみようかな」と思える人を一人でも増やしたい。遊びや外食といった“娯楽”は、見方によっては贅沢なものかもしれません。でも、人間にとって“気持ちが前向きになる瞬間”って、実はすごく大事なことだと思うんです。
誰かの心を少しでも軽くできる、そんな場づくりを通じて、日本全体がもう少し明るく、楽しくなれば嬉しい。いち企業が社会課題のすべてを解決するのは難しいですが、「自分たちにできること」をひとつずつ、しっかり形にしていく。それが私たちなりの社会貢献だと考えています。
経営の信念と事業の展望について伺います
── 経営者として「経営をする上でこれは絶対に譲れない」と思う信念や価値観はありますか?その信念を事業運営にどう反映させていますか?
私が経営をするうえで、絶対に譲れないものがあります。それは「理念」です。どんなに事業が広がっても、どんなに時代が変わっても、この理念に沿わない判断はしたくありません。たとえば、人を大切にすること。それは単なるスローガンではなく、日々の経営判断、社内制度、サービス提供の根底にあるべきものです。実際、社内施策のひとつひとつも、「この理念に照らして本当に正しいか?」という視点で必ず見直しています。

共感が力になる。あなたらしく輝ける場所。
このインタビューを読んでいただいた学生さんへのメッセージをお願いします
私たちは「優秀な人を採りたい」と思って採用をしているわけではありません。それよりも、「価値観に共感できる『仲間』と出会いたい」という気持ちが強いです。
この会社では、共感してくれる人ならきっと活躍できるし、自分らしい挑戦ができる環境が整っています。私たちが目指しているのは、“その人が面白いと思えること”を一緒に考え、それを実現していく会社です。正解を押し付けるのではなく、あなたの「やってみたい」を尊重し、一緒に形にしていきたいと思っています。
就職活動は、大変で不安も多いかもしれません。でも新卒で入る会社って、人生で一度きりの大事な選択ですよね。だからこそ、他人に決められるのではなく、自分自身で「ここなら自分らしく働けそう」と思える場所を選んでください。そしてもし、私たちの会社に何か一つでも“ピンとくる”ものがあれば、ぜひ一度会いに来てください。
