葛藤が育てた行動力
どんな幼少期・学生時代を過ごしたか教えてください
── 出身地はどちらですか?ご家族はどんな方々でしたか?幼少期の想い出を教えてください
私は神奈川県で、地域に根ざした家庭の中で育ちました。父は大きな農家の家系、母は神社の家の出身で、「地域の人に恥ずかしくない生き方をしなさい」と厳しく育てられました。今振り返ると、その厳しさの中で、私はずっと「認められたい」という気持ちを持ちながら成長してきたと思います。素直に愛情を受け取るのが得意な子どもではなくて、「自分らしさって何だろう」と模索することが多かったですね。学生時代にはアイドルに憧れて、オーディションを受けて合格したこともありましたが、両親に反対されて諦めました。その後、妹がタレント活動を始め、私が憧れていたことを実現している姿を見て驚きました。私にはダメだったけど、妹には許されたことに少し悔しさを感じながらも、両親に認められたいという気持ちが強くなったんだと思います。その経験も含めて、順風満帆ではない中で、自分の気持ちと向き合い続けてきたのが、私の原点だと思っています。
学生時代について詳しくお聞かせください
── 学生時代はどのように過ごしていましたか?学生時代の想い出を教えてください
学生時代はとてもアクティブでした。バレーボール、バドミントン、テニス、バスケットボールなど、体育会系の活動が好きで、短大から社会人になりたての頃にはダイビングやパラグライダーにも挑戦していました。一方で、学びとしては幼児教育や初等教育を選び、小学校や幼稚園の教員免許も取得しました。というのも、私は幼少期の親子関係や人格形成に強い関心があったんです。どうしたら人はよりよく育つのか、親子関係はどうしたらよくなるのか、そんなことを真剣に考えていました。ただ、教育実習に行ったときに、「まだこの年齢で先生と呼ばれるには、自分は未熟だ」と感じたんです。現場の理想と現実、ご家庭ごとの背景を目の当たりにして、一度社会に出て広く学ぼうと進路を切り替えました。
社長になるまでのきっかけやキャリアについて伺います
── 初めて就職したきっかけや、その職場での経験を教えてください。
最初に就職したのは金融業界です。当時はバブル期で金融系の採用も多く、私は一般職としてバックオフィスから社会人をスタートしました。最初の3年間で、お金の流れ、人の流れ、労務や総務、管理業務の基礎を一通り学ばせていただきました。これは今の経営にもすごく生きています。その後、父が中小企業を経営していたこともあり、家業を手伝う形で転職したのですが、そこから想像以上に現場に深く入っていくことになります。店舗運営、営業、新卒採用、託児所の立ち上げ、女性スタッフの採用育成、テレアポ部隊の構築まで、本当に幅広く経験しました。200名規模の女性組織のマネジメントにも携わらせてもらい、地域密着で人を育て、事業を動かす面白さと難しさを、そこで徹底的に学んだと思います。
使命は、生きる力を支えること
企業名に込めた想い・由来を教えてください
「VenusStyle」という社名には、地域の女性たちの人生に寄り添いたいという想いを込めています。ヴィーナスは、海から生まれた愛と美の女神。そのイメージを、湘南という海のある地域で生きる女性たちに重ねました。そして「Style」には、多様化する女性のライフスタイルを応援したいという意味があります。結婚、出産、育児、介護、仕事など、女性の人生にはいろいろな局面がありますよね。そのどれかひとつではなく、その人らしい生き方そのものを支えたい。そんな想いを込めて、この名前をつけました。湘南の女性たちの暮らしをより豊かに、より自分らしくしていく会社でありたい。その原点が、この社名に詰まっています。
事業を始めるきっかけについて教えてください
── この事業を手がけることになったきっかけや経緯はどのようなものですか?
起業のきっかけは、決して華やかなものではありませんでした。当時の私は、子どもの下着にアイロンをかけるような、いわゆる専業主婦に近い生活をしていました。でも離婚を考えるような出来事があり、「この先、自分で生きていかなければならないかもしれない」と現実に向き合うことになったんです。子どもとの時間は大切にしたい、でも自分には手に職があるわけでもない。そう考えたとき、時間の融通が利きやすい起業という選択肢が見えてきました。その中で出会ったのが、アメリカから入ってきたばかりのカーブスです。地域密着型で、女性が女性を支える事業であり、自分がこれまで湘南で培ってきた地の利や人とのつながりも生かせる。さらに、かつて支えてくれた地域の女性たちへの恩返しにもなる。そう思えたことが、起業への大きな一歩になりました。
事業に込めた想いについて教えてください
── この事業を通じて、どのような想いを世の中に届けたいと考えていますか?
この事業にかける想いの原点には、娘の闘病経験があります。娘が4歳の誕生日を病院で迎え、急性リンパ性白血病と診断されたとき、私は目の前のわが子に対して「代わってあげたいのに代われない」という無力感を痛いほど味わいました。その時に強く感じたのが、「人生はその人自身のものなんだ」ということです。どんなに大切でも、本人が生きる力を持って乗り越えるしかない。そしてもうひとつ、日本の医療制度にも深く救われました。治療費の心配をせずに娘に向き合えたのは、この国の支えがあったからです。だからこそ私は、健康寿命を延ばし、介護や医療に過度に頼らなくてもよい社会をつくることが、次世代を守ることにつながると考えるようになりました。自分の人生を自分で歩める人を増やしたい。その支援をすることが、私たちの事業の本質です。

自然体で、人に寄り添う
趣味・特技について伺います
── 趣味や特技に関してのエピソードがあれば教えてください。また、趣味や特技が仕事に活かされているなと感じたことはありますか?
趣味は、30年ぶりに再開したダイビングです。海に入ると、すごく心が整うんですよね。あとはドラマを見るのも好きです。ただ楽しむというより、人の感情や背景を読み取るような見方をしてしまうんです。この人はなぜこういう言葉を選んだのか、この行動の裏にはどんな想いがあるのか、つい考えてしまう。私は人が好きなんだと思います。それから、愛犬が3匹いて、犬も猫も含めて生き物全般が大好きです。幼い頃から動物に囲まれてきたので、今も一緒に過ごす時間が大切な癒やしになっています。仕事にもつながる部分でいうと、相手の表情や声色の変化に気づくのは一つ特徴として、周りの方からよくお声をいただきます。電話の一言で「あ、何かあったな」と分かることもありますし、その人の背景を丁寧に聞き出すのも自然とやっていることですね。
経営者としての「自分らしさ」についてお聞かせください
── ご自身の強みや個性について、どのように捉えていますか?また、その強みを活かして、どのように事業や経営に反映させていますか?
私の経営者としての自分らしさは、できるだけ自然体で、裏表なく人と向き合うことだと思っています。昔は、悪戦苦闘している自分や感情の揺れも含めて、全部さらけ出すことが学びになるだろうと思っていました。でも年齢や経験を重ねる中で、無理に見せようとしなくても、そのままの自分でいることが周囲にとって安心感や良い影響につながるようになってきた気がします。また、女性が長く働いていくには、本人の努力だけではなく、家庭や家族の理解も欠かせません。だから私は、働く本人だけではなく、その人の家族も含めて支えていくような感覚を大切にしています。子育ても介護も、誰か一人で抱えるものではない。みんなで幸せを選べるように関わることが、私らしい経営の形なのかなと思っています。
ご自身の経営者としての強みを活かした具体的な取り組みについて伺います
── 「これは自分だからこそできた」と思える取り組みや成果はありますか?また、特にこだわっている商品やサービス、または社内の文化などがあれば教えてください
正直に言うと、「私だからできた」と思っていることはあまりないんです。誰でも、人の役に立ちたいという気持ちを持てば、組織人としても経営者としても成長できると思っています。私が大事にしているのは、まず利他的であることです。サービス業は、自分の持っているものを相手に提供して、初めて対価をいただける仕事です。役に立っていないのに報酬だけを受け取ることは、本来あってはいけない。だからこそ、たくさんの人に価値を届けられる人間になろうと伝えています。自分さえ良ければいい、自分の正しさだけを押し通したい、そんな姿勢では心も豊かになれない。人の役に立ち、その結果として自分も豊かになる。この順番を大切にする文化を、会社の中でも徹底して共有しています。それが、私が一番こだわってきた取り組みかもしれません。
目的を見失わない成長へ
これから先の会社としての成長について伺います
── いま、会社を経営するにあたって難しいと感じている課題など「壁」はありますか?また、会社の規模・成長率について、どのように会社を大きくしていきたいですか
今後の成長を考えるうえで、健康産業そのものの可能性はとても大きいと感じています。高齢化社会はこれからも続きますし、コロナ禍を経て健康への意識はさらに高まりました。現在の主力事業であるカーブスにも、まだまだ広がる余地がありますし、男性向けカーブスの展開も始まっています。ただ一方で、私たちの事業は「人が人に施すサービス」です。市場が伸びても、担い手が減ってしまえば成長には限界が出てきます。だからこそ、正社員だけにこだわらず、パートや時短勤務も含めて、さまざまな形で女性が社会とつながり続けられる仕組みをつくっていくことが必要だと思っています。女性が長く働くことを当たり前にしていく。その意識改革も含めて、会社の成長と社会の変化を両輪で進めていきたいと考えています。
これから先に取り組みたい社会貢献・社会課題解決の取り組みについて伺います
── 事業を通じてこれから先どのように貢献・社会課題に向き合っていきたいとお考えか教えてください
これまでも、ピンクリボン啓発のウォーキングイベントや、フードドライブで集めた食品を養護施設に届ける活動など、地域密着で社会貢献に取り組んできました。お客様も約7,000名いらっしゃるので、そのつながりを生かして、女性の健康や暮らしやすさを地域に発信していくことは、今後も大切にしていきたいです。ただ、その先にもっと力を入れたいのが、女性の経済的自立です。私自身、いざという時に「自分には手に職がない」と感じた経験があるからこそ、働く力を持つことの大切さを痛感しています。これからは教育事業にも踏み出し、女性が経済力を持てるような学びの場、たとえば手に職をつけられるスクールや、実際に働ける場づくりにも挑戦したい。健康だけでなく、生き方そのものを支える会社へ進化していきたいと思っています。
経営の信念と事業の展望について伺います
── 経営者として「経営をする上でこれは絶対に譲れない」と思う信念や価値観はありますか?また、その信念を事業運営にどう反映させていますか?
私が絶対に譲れないのは、「何のためにこの会社があるのか」という目的です。たとえば、タイムカード管理を効率化するためにAIやDXを入れようという話が社内で出たことがあります。もちろん効率化そのものは必要ですし、これからの時代に欠かせません。でも、その導入理由が「報告がずさんで手間がかかるから」というだけなら、私は違うと思うんです。タイムカードをきちんと出すことも、その人の仕事への姿勢であり、責任感の表れです。そこを育てずに、ただ面倒だから仕組みで置き換えるのは、私たちが大切にしている「人の可能性に寄り添う」という理念とずれてしまう。効率は目的ではなく、理念を実現するための手段です。どれだけ時代が変わっても、何を次世代につなぎたいのか。その目的だけは絶対に手放してはいけないと、私は思っています。

自分を幸せにできる人へ
このインタビューを読んでいただいた学生さんへのメッセージをお願いします
学生のみなさんにお伝えしたいのは、「自分を幸せにできる人であってほしい」ということです。私は、自分のことが大好きだと言える人と一緒に働きたいと思っています。それは決して自己中心的という意味ではありません。自分を大切にできる人は、相手のことも大切にできるからです。サービスを受ける立場で考えたとき、「あなたはどうぞ」と線を引く人よりも、「出会えてよかった、一緒に幸せになりましょう」と言ってくれる人のほうが、きっと心に残りますよね。人のせい、環境のせいにして生きるのではなく、自分で選んだ人生を自分で引き受ける。その覚悟を少しずつ持てる人と出会いたいです。今、完璧にそうでなくても全然かまいません。これからそんな価値観を育てていきたいと思える人なら、きっと大きく成長できると思います。誰と出会い、誰と生きるかで人生は変わります。ぜひ、自分の人生を大切にできる選択をしてほしいですね。素晴らしい方との出会いをお待ちしております。
